京都の闇に魅せられて(新館)

特別編:京都国際マンガミュージアム「荒俣宏の大大マンガラクタ展」 @ 京都妖怪探訪(706)





(記事中の写真はクリックで拡大します。プライバシー保護等の為、人の顔部分に修正を加えていることがあります)


 どうも、こんにちは。
 先日、京都国際マンガミュージアムにて、特別展「荒俣宏の大大マンガラクタ展」を観てきました。
 館長である荒俣宏氏は、作家であり、博物学者であり、また有名な妖怪研究家の一人でもあります。
 この特別展では、荒俣氏のこれまでの業績の他、氏のプライベートでの収集物や、子供や学生時代などの作品まで、荒俣氏に関する様々なものが展示されていました。
 その中で、荒俣宏の天才性に気付き、驚かされることになりました。


 まずはいつもの通り、交通アクセスから。
 京都市営地下鉄「烏丸御池」駅の2番出口から烏丸御池交差点の北西に出ます。。









 そこから烏丸通りの西側を北へと少し歩いたら、目指す京都国際マンガミュージアムが見えてきます。






 ちょうど開催中でした。









 さて、そもそもこの特別展「荒俣宏の大大マンガラクタ展」とは一体、どういうものなのか。
 この特別展の紹介ページの文章から、以下引用してみます。


>京都国際マンガミュージアムでは、「世の中に忘れられたマンガの先祖たちを掘りおこし、現代マンガのルーツをさぐる」ということを目的に、荒俣館長が企画し、プロデュースする「大マンガラクタ館」という小展示シリーズを展開しています。「マンガラクタ」というのは、マンガを含め、「だれかの発見されないかぎり、ずっとゴミくず同然に埋もれてしまう」ガラクタこそを面白がる、という価値観を示した、館長による造語です。



 引用、一旦ここまで。
 これを読んだだけで、これは興味深そうだと思えてきます。
 以下、さらに引用。


>本展は、「大マンガラクタ館」の特別拡大版として企画されました。プロデューサーは、荒俣館長本人です。ある意味、子どもの頃から「大マンガラクタ館」の館長だったと言える荒俣宏ですが、多くの人が見向きもしなかったモノ、コト、ヒトを集め、文章や絵を書いたり描いたりすることで評価してきた人生を、館長自身のコレクションや創作物などで紹介します。


 引用ここまで。
 いかにも博物学者・・・というより、あらゆる分野で博識な荒俣氏らしい発想かもしれません。
 なお、以下の京都国際漫画ミュージアムが作成・発表した「大大マンガガラクタ展」のPR動画を貼っておきます。






 私にとって、荒俣宏氏といえば・・・。
 本シリーズ関連で言えば、シリーズ第534回から第537回で紹介したマンガミュージアムの妖怪仮装イベント『節分おばけ☆仮装百鬼夜行』で館長としてご自身も参加されたことが、今も記憶に残っています。








 その当時は、気軽に撮影にも応じて下さる気さくで、ご覧の写真のような茶目っ気や遊び心もあるお人柄に触れることが出来ました。
 また。
 かつて荒俣氏原作の長編小説『帝都物語』シリーズに馴染んだ時期もありました。
 1988年(昭和63年)には映画化もされてヒットし、嶋田久作氏が演じる帝都壊滅を目論む魔人・加藤保憲が強烈に印象に残りました。
 そして原作本も買って読んで・・・今から思えば、結構あのシリーズにもハマっていました。
 勿論、会場には『帝都物語』に関する展示もありました。
 以下、参考までにその展示に関する京都国際マンガミュージアムの動画もあげておきますので、興味ある方はご覧下さい。






 私にとって館長・荒俣氏とはそういう存在でもあり・・・今回、荒俣氏という人を知ることが出来そうなイベントに興味を抱き、この特別展を訪れました。
 ミュージアムの象徴ともいうべき、火の鳥の前を通って展示会場へ。





 実際にこの特別展を、荒俣宏という人物の軌跡ともいうべき展示物の数々を観て思い、そして驚いたのは・・・。
 荒俣宏という人は、誇張やお世辞抜きで「天才」というにふさわしい人物であったということ。
 そこに展示された品々と解説文とが、それをこれでもか、これでもか、というくらいに表しているということ。

 シリーズ第580回で、水木しげる先生を例に、以下「天才」の4つの特徴をあげました。


①早くから抜きんでた才能を顕す。
②質と共に大量の作品を遺す情熱とバイタリティを持つ。
③ひとつの分野だけで無く、あらゆる分野や物事に興味関心を持つ。
④自らの専門・得意分野だけなく社会や人生、人間にも関心を持ち、深い考察をする。


 今回は、荒俣氏がその特徴をどのようにして持っているのかを、説明していきます。



①早くから抜きんでた才能を顕す。

 天才とは何か。
 まず、早くから抜きんでた才能を現すものである。
 「大器晩成」という人も居ないわけではありませんが、多くの場合は、早い段階からその才能の鱗片でも見せるものである、と私は考えます。
 荒俣氏も、子どもの頃から既にその才能の鱗片を幾つも見せていたようです。

 荒俣氏の母・ミツは、書道、琴、三味線、日本画(特に美人画)などの幾つもの分野に才能を発揮した人物だったそうです。
 妹・静枝は、「最初は漫画家になりたかった」という荒俣氏の影響か、漫画家となり、志村みどりのペンネームで、あの藤子・F・不二雄スタジオに所属し、プロマンガ家として活躍したという人。
 ただ、父親は商才もなく、うだつの上がらなかった影の薄い人物だったそうですが。

 会場では、荒俣氏が小学生の頃描き、母・ミツが息子の画才を見いだし、ずっと残しておいたという絵が展示されていました。
 その絵を見ると、小学一年生が描いたとは思えないほど見事。
 「母・ミツが才能を見いだした」というだけあるな、と思いました。
 参考までに、以下、マンガも書いていた頃の幼少期の、若き日の荒俣氏とそのご家族に関する展示の紹介動画を貼っておきますので、ご興味ある方はご覧下さい。


【荒俣館長解説篇:01 漫画と人生】 「荒俣宏の大大マンガラクタ館」展




 荒俣氏は幼少期から、博物(特に海洋生物など)に強い興味を持っていたそうです。
 氏が子どもの頃ノートに書き続けてきた飼育日記や金魚の版画なども、また氏が収集されたという海外の博物書なども展示されていました。
 それらを観たら・・・とても小学生くらいの子供が描いたとは思えないほど、細部まで緻密なものでした。
 そう言えば、マンガの神様とも言われた手塚治虫氏も、子供の時に恐ろしく緻密な昆虫画を描いたことは有名ですが、荒
俣氏の飼育日誌のイラストにもそれと似たものを感じました。
 また博物学を追究するあまりに、当時は難しかったであろう海外の博物書まで収集されたというのも驚きです。
 やはり天才と呼ばれる人たちは、早くから、子どもの頃からその才能を現す、ということでしょうか。
 その参考までに、幼少期の、若い頃荒俣氏とそのご家族、ご活躍についてのマンガミュージアムの動画もがありましたので、あげておきます。





 学生時代から『英雄コナン』シリーズや、『クトゥルフ神話体型』など後に有名となる海外作品の翻訳と挿絵もこなし、翻訳の仕事も請け負うようになって、後の経歴や活躍につながったという。
 その時の紹介動画も以下に貼っておきますので、興味ある方は是非ご覧頂きたいですね。





 また、やはり学生時代に『Under the deep』というストーリーアニメまで作っていたという。展示会場でその出来映えを観て、またもや驚嘆。
 私のような凡人は、同じ学生時代は・・・何の実績も無い。本当に何もしていない。
 やっぱ「天才」は、子どもの頃、若い頃から、凡人とは何もかもが違うなあ、と痛感させられた次第です・・・。



②質と共に大量の作品を遺す情熱とバイタリティを持つ。

③ひとつの分野だけで無く、あらゆる分野や物事に興味関心を持つ。



 作家としてだけでなく、翻訳家、博物学者、エンジニアなどとして、様々な分野で長年に渡って活躍されてきたこともあって、荒俣氏の仕事や業績も膨大なものがあります。
 展示された著作の数々を観ても、その業績は『帝都物語』、『英雄コナン』シリーズ、『クトゥルフ神話』シリーズなど作家・翻訳者としての作品だけで無く、神秘学、博物学、生物学、コンピューター、妖怪・オカルト研究など実に他分野に及びます。
 幼少より多くの分野に興味を持ち、それぞれでその足跡を残されてきたことだけでも、荒俣氏の多才・天才ぶりを証明するには十分でしょう。
 荒俣氏は子どもの頃から
 「ファンタジー」
 「生物」
 「絵を描くこと」
の3つが、自分のベースにあったと仰っています。
 余談ですが私は、そのうち「ファンタジー」と「絵を描くこと」が好きだったことが、荒俣氏と一致してましたので、ここで荒俣氏に非常な親近感すら抱いてしまったのですが・・・。
 「絵を描くこと」に関しては、残念ながら凡人の私には全く才能がなかったようなので、今ではもうやめていますが。
 「ファンタジー」や「妖怪」は今も三度の飯より大好きで、TRPGなどの形で今も関わり続け、また『京都妖怪探訪』などという形で今も形で関わり続けております。もっとも「下手の横好き」の範囲でしかないのですけど(苦笑)。

 さらに興味深かったのが、荒俣氏が19世紀からの国内外の美人画やセクシー画、今で言うピンナップガールなどのイラストも収集されていたという話でした。
 本当に、多くの、あらゆる分野に尽きることを知らない知的関心と情熱を注ぎ続ける。
 これもまた天才であることの証明なのでしょう。
 ところで、美人画・セクシー画収集家としての荒俣氏を紹介した動画も、以下に貼っておきます。






④自らの専門・得意分野だけなく社会や人生、人間にも関心を持ち、深い考察をする。

 第580回などで紹介した水木しげる先生、京極堂シリーズの京極夏彦氏、そして荒俣宏氏など、日本妖怪学会(?)の重鎮の方々は、ストレートな政治的発言等はなかなかしないもののようです。
 また、京極夏彦氏や荒俣宏氏は、水木しげる先生のように、「なまけ者になりなさい」などの独特の人生観や人生哲学を説かれるわけでもない。
 しかしながら、だからと言って、水木しげる先生、京極夏彦氏、荒俣宏氏が、社会や政治、人間や哲学などに対して無関心かというと決してそんなことはない。
 多くの歴史・戦記マンガやエッセイマンガなども描き、その見識や哲学などを表した水木しげる先生。
 また、京極夏彦氏の京極堂シリーズを読むと、京極夏彦氏の社会や人間に対する深い洞察がその背景にあることがわかります。例えば、『絡新婦の理(じょろうぐものことわり)』では、フェミニズムなどの問題も絡んでいたりして、なおかつあれだけぞくぞくするようなストーリーを紡いだ京極氏の才能や見識には舌を巻いたものです。
 『帝都物語』を書かれた荒俣宏氏も、明治、大正、昭和の流れを、実在の事件も絡ませながら、あの長大なストーリーを紡ぎ出すのは、歴史や社会に対する相当な知識や見識などがなければ絶対に出来ないだろうな、と思います。


 ところで、「大大マンガラクタ館」の中に「奇っ怪紳士録」というコーナーもありました。
 荒俣氏による「日本の奇人変人を発掘し、再評価する」という試みのようです。
 もっとも、ここで言う「奇人変人」とは、単にただ変わっている、世の大多数を占める「普通の人々」と違っている、というだけの人というよりも。
 日本の既存の組織や社会の枠にははまらない、多数派の「普通の」日本人には理解されにくいけど、素晴らしい才能を持ち、業績を残している。
 そんな人たちを発掘し、再評価する為の試み。
 これは荒俣氏のオタク的な興味関心もあるのでしょうが、画一的でないもの、世間の枠に当てはまらないもの、多数派が理解できないものを理解しない、排除しがちなものにこそ光を当てなければという荒俣氏のポリシーみたいなものもあるかもしれません。
 なお、この「奇っ怪紳士録」を紹介した動画も以下に貼っておきましたので、興味ある方はご覧下さい。






 いろいろと面白く、興味深かった今回の特別展。
 帰り際に物販コーナーで、この特別展の図録を求めたところ、残念ながら無いとのことでした。
 その代わりに、荒俣氏の著書がいくつか販売されていました。
 その中から私は、『日本妖怪巡礼団』という本を買いました。





 荒俣氏とそのご一行が、東京や関東地方などの妖怪・怪異の伝承地を巡る、というもの。
 つまり、この『京都妖怪探訪』シリーズと同じことをやっている、否、本シリーズの第1回より20年ほど前に書かれた、いわばこちらの大先輩か大先達ともいうべき存在です。
 関東にはどのような妖怪や怪異の伝承地があるのかという興味と、今後の本シリーズの参考にもしたいという思いもありました。
 早速読んでみますと・・・その内容にぐいぐいと引き込まれていきます。
 こちらのヘタレ文章とはレベルが違うな、と思いました。
 こちらも少しでも参考に出来ればいいのですが。


 こうして天才・荒俣宏氏の世界を堪能し、そして圧倒されたまま、帰路につきます。
 なお、この特別展は当初、2020年(令和2年)8月25日までの開催予定でしたが、9月27日まで延長されることになりました。
 この記事を書いている時点で私は、2回訪れています。






 今回はここまで。
 また次回。





*京都国際マンガミュージアムへのアクセス・周辺地図はこちら




*京都国際マンガミュージアムのHP
https://www.kyotomm.jp/




*『京都妖怪探訪』まとめページ
https://kyotoyokai.jp/




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