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どうも、こんにちは。
この夏に京都市内で、京都考古学資料館と京都国際マンガミュージアムと合同で開催されました、呪術関係の特別展示『考古資料とマンガで見る呪術‐魔界都市京都‐展』に行ってきました。
シリーズ前々回と前回に引き続き、京都考古学資料館の展示呪物の一部を紹介していきます。
では早速。
密教の法具の数々。
輪宝(りんぽう)や独鈷杵(とっこしょ)など、荻野真『孔雀王』など退魔マンガや密教マンガなどでお馴染みのものもあるのではないでしょうか。
こういう退魔マンガに馴染んできた私としては、こういうのを観ているだけでうれしくなりますね。
蛇形代(へびかたしろ)。
前回記事でも、形代を幾つか紹介しましたが、こちらは蛇に似せて造られた珍しいものです。
まるで杖のような形で、蛇の頭の部分も似せて造られるのが、上の写真からおわかり頂けるでしょうか。
『ハリー・ポッター』シリーズにも、こういう蛇型の魔法の杖が出てきそうな気がしてきます。
土人形に冥銭(めいせん)。
冥銭。古来より日本では、六文銭が死者の副葬品とされることが多かったようですが、最も有名な「三途の川の渡し賃が六文銭」という説の他、「六道にそれぞれいる「6体の地蔵菩薩に1文ずつ渡す」など、その由来には諸説あるそうですが。
ここに展示されている冥銭と土人形は、子どもの埋葬に使用されたそうで、土人形や土笛は生前の子供が愛用していたものかもしれません。
こういう解説を聴いて、これらの発掘物を見ていると・・・。「この土人形や冥銭を供えた親は、どんな思いで、亡き子を見送ったのだろう」とか、何とも言えないものがこみあげてきます。
展示場内には、実際の発掘の様子を撮った写真と、それに使用された道具類も、烏丸ミユとマミューのパネルと共に展示されています。
ここで紹介した以外にも、多くの呪物(お守りや縁起物、地鎮祭にしようされた道具など)が展示されていましたが、ここでは紙幅などの都合でその全てを紹介しきることはできません。
その他の展示物が観たい方は、この展示会が開催されている今年(2022年、令和4年)11月20日までに、ここ京都考古学資料館を訪れてみてください。
さて、展示されている発掘呪物の全てをここで紹介しきれないとは申し上げましたが。
最後にこれだけはとりあげなければ、という発掘呪物をひとつ紹介します。
それが、この木製の2体の人形代です。
これは、京都市内にある平安京右京六条三坊六町跡という平安時代前期の遺跡から出土したという立体的な男女の人形代です。
それぞれ、「葛井福万呂」「檜前阿古○○」という、おそらくは実在した人物の実名が墨書きされています。
また、本体とは別部分の腕は後ろ手に縛られた形になっていたとも解説されていました。
この人形を後ろ側から観たら、確かにそのように思える痕跡が。
つまりこれは、明確な悪意や敵意を込められて創られたもの、いわゆる「呪いの人形代」で、牛の刻参りの藁人形など呪いの人形のルーツかもしれないとも言われています。
前回記事で、「呪術とは何か」という講義の話をしました。「呪術」とは、「超自然的な力に願いを込めてはたらきかけるもの」であり。その言葉から、人を呪うものという恐ろしげなイメージを抱きがちですが、そのほとんどは福を願ったり、厄を除けたりするどちらかというポシティヴなものであり、「呪い」「呪詛」などといったネガティヴなものは、その中のごく一部にすぎない。
しかしこれは、その中のごく一部、「呪い」「呪詛」に使用された、文字通りの「呪術」の「呪物」。
今回の展示物の中で最も危険で、いろんな意味で貴重な発掘呪物です。
楽しみ、お腹いっぱいになって、考古学資料館を後にします。
私は今までで2回、考古学資料館のこの特別展示を訪れています。
これだけの発掘呪物が観られて、入場料は無料、しかも展示物の撮影可(※但し、フラッシュは厳禁。撮影時は一応、資料館の人のご了承はとった方がいい)という、こんな夢のような展示が、今年(2022年、令和4年)の11月20日まで開催されています(注:京都国際マンガミュージアムの方は9月5日まで)。
今回はここまで。
また次回。
*京都市考古学資料館へのアクセス及び周辺地図はこちら。
*京都市考古資料館のHP
https://www.kyoto-arc.or.jp/museum/
*京都国際マンガミュージアムへのアクセス及び周辺地図はこちら。
*京都国際マンガミュージアムのHP
*『京都妖怪探訪』シリーズ