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どうも。
今回の『京都妖怪探訪』シリーズでは、「京都」「妖怪」というキーワードを語るにふさわしい、歴史もあるパワースポットをとりあげます。
その名は神泉苑。
現在は二条城の南にある庭園で、東寺真言宗の寺院でもあります。
この神泉苑の歴史はかなり古く、平安京遷都とほぼ同時期から当時の大内裏に接して、元あった湿地を利用して造営された広大な庭園だったそうです。
元は天皇や貴族の遊園の場だったそうですが、長い歴史の中で、様々な霊的・宗教的な儀式の場としても使われ、竜などの妖怪や、空海や小野小町などの異能者などの伝説も数多く伝わっています。
今、ざっと思いつくだけでも以下のような歴史や伝説が。
・竜が棲み、八坂神社にもつながる「竜穴」もあるという伝説
・弘法大師こと空海が善女竜王を召喚して、ライバル守敏との祈雨勝負に勝ったという伝説
・有名な京都・祇園祭の元になった「御霊会」という宗教的な儀式が行われたという歴史
・小野小町が雨乞の歌を詠んで、雨を降らせたという伝説
・醍醐天皇の意に従って「五位」の位を受けたという、「五位鷺」の伝説
・源義経と静御前とが出会った場所であるという伝説
・京都市を東西に横切る大通りのひとつ「御池通り」の名の由来になったという説。
などなど。
今回はそんな場所を、雨のちらつく中、訪れてみました。
まずは、いつものとおりアクセスから。
アクセスについては、神泉苑のHPにあるとおりいくつかありますが、今回はJR二条駅から行くことに。
写真は、JR・二条駅前です。
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ここには、京都市営地下鉄の「二条」駅と、京都市営バスの「二条駅前」停留所もあります。
そこから、御池通りを東へ進んでいきます。
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10分ほど東へ歩けば、神泉苑の入り口前に着きますが。
京都市営地下鉄の「二条城前」駅からも歩いて行けます。
その途中には、こんな町屋と礎石も。
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神泉苑の入り口前。
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すぐそばには、京都市営バスの「神泉苑前」停留所もありますが、バスの本数は少ないようです。
御池通りに面した入り口から、中へ入ります。
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なお、御池通りは京都を東西に横切る通りのひとつであり、その名の由来は、大きな池のある神泉苑にあるとする説があります。
御池通りの入り口から入って正面の様子。
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まずは、正面にある「善女竜王堂」を目指します。
石橋の上からの光景。
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池の中には、たくさんの鯉が居ます。
また、池にかかる朱塗りの橋は「法成橋」ともいい、ここも神泉苑内の注目スポットのひとつですが、この橋についてはまた次回で取り上げます。
摂末社のひとつ、「恵方社」です。
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ご覧の通り小さな社ですがここには、陰陽道における一年の福徳を司る神様・歳徳神(としとくじん)が祀られています。
この社は、毎年の大晦日に、新年の恵方(縁起が良いとされる方向)へとお祈りが出来るように向きが変えられているのが特徴です。
「日本で唯一の恵方社」だそうです。
「善女竜王社」です。
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善女竜王という竜王が祀られています。
何故、善女竜王が祀られているのか。また、何故、この庭園が東寺真言宗の寺院になっているのか。
それには、次のような伝説があります。
シリーズ第117回と147回でも触れましたが、改めて紹介します。
天長元(824)年、旱魃が起こり、朝廷は祈祷の力に優れた二人の高僧、東寺の空海と、西寺の守敏に祈雨の祈祷を行うよう命じました。つまり、両者の「雨乞術くらべ勝負」となったわけです。
そして勝負の時を迎えましたが、空海が祈祷しても雨が降りません。
不審に思った空海が、法力を使って原因を調べてみると、ライバル守敏の仕業だということがわかりました。
空海の祈祷が始まる前に守敏は、法力でて世界のほぼ全ての竜王を閉じ込めてしまうことによって、空海が祈祷をしても雨が降らないように仕掛けておいたのです(当時、雨は水神である竜が降らせるものと考えられていました)。
しかし、天竺(インド)に居た善女竜王にだけは守敏の法力が及んでいませんでした。
そこで空海は、善女竜王を召喚して雨を降らせることに成功しました。
こうして勝負は空海が勝ち、栄誉が与えられました。
この伝説によって、善女竜王が境内に祀られているのです。
なお、この勝負に負けてから守敏の西寺の方は衰退し、現在では東寺だけが残っていると伝えられています。
第117回でも紹介しましたが、東寺の境内にも善女竜王を祀った祠があります。
善女竜王以外にも、神泉苑には「竜が棲む」とか、「貴船や祇園の八坂神社、瓜生石の下にも通じる竜穴がある」などという伝説があります。
昔は「雨は竜神が降らせる」と信じられていたようです。
そして昔は、いや、現在でも「雨が降るかどうか(←水が確保できるかどうか)」は、人間の生活や社会を維持していく上で大変重要な問題です。
現在のような科学知識もない時代、雨乞の祈祷や竜神信仰、そのための儀式等も重要視されており、このような信仰や伝説が興り、そして残されてきたのでしょう。
記事がそこそこの長さになりましたので、ここで一旦切ります。
続きはまたシリーズ次回!
*神泉苑へのアクセスはこちら。
*神泉苑の公式HP
http://www.shinsenen.org/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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