京都の闇に魅せられて(新館)

千本えんま堂大念仏狂言『千人切り』 @ 京都妖怪探訪(489)





(記事中の写真はクリックで拡大します)


 どうも、こんにちは。
 毎年、5月連休に“千本えんま堂”こと京都・引接寺で行われる「千本えんま堂大念仏狂言」。
 第484回から前回まで、「千本えんま堂狂言」の演目を、特に妖怪や幻想生物などが登場する演目を紹介してきましたが。
 今回は、毎年行われる「千本えんま堂狂言」で必ず最終日の最後に行われる演目を紹介します。毎年必ず最初に行われる演目『えんま庁』(※第348回を参照)と共に、おそらく最重要演目であり、布教・宣伝の為という「えんま堂念仏狂言」本来の性質を残したものでしょう。


 “千本えんま堂”こと引接寺が、小野篁によって開基され、それから後世の寛仁元(1017)年、藤原道長の後援を得た比叡山・恵心僧都源信の弟子・定覚上人が、ここを「諸人化導引接仏道」の道場とすべく「光明山歓喜院引接寺」と命名し、仏教寺院として開山して現在に至ります。
 上覚上人の時代、この千本えんま堂があった付近は、京都の葬送地のひとつであり、非常に淋しい場所でした。その為、盗賊などの犯罪者が跋扈する危険な場所でもありました。
 そこで上覚上人は、藤原道長から遣わされた役人・源為朝に盗賊討伐に当たらせます。
 為朝は千人以上の悪人や犯罪者を相手に金剛杖で挑みますが。
 為朝に金剛杖で打たれた悪人は、次々と良心を取り戻し、しかも持病まで治ってしまいました。
 これもご本尊・えんま王(=地蔵菩薩)のご加護であると、この奇跡と功徳を伝えるのがこの演目です。


 まずは演者の登場から。





 鉦と太鼓のお囃子と共に演者が登場しますが、他の演目とは違って、客席の間を通って入場してきます。
 まずは「為朝」「烏」「親鬼」「子鬼」の主要な登場人物4人が入場してきます。
 この演目には、今までの全演目の演者も総登場するのですが、この2役は特に重要な役です。
 最重要は勿論「為朝」で、毎年全演者の中から一人ずつ選ばれるという、つまり何十年に一度しか任されないという大役です。「烏」「親鬼」「子鬼」も翌年か数年後には「為朝」役を任されるという重要な役です。


 まずは「烏」役が舞台に上がり、破魔矢(の束)を東西南北と上下、六方向に向けます。














 「東は東海、はてまでも」
 「やーるまいぞ、やるまいぞ」

 「北は北海、はてまでも」
 「やーるまいぞ、やるまいぞ」

 「南は南海、はてまでも」
 「やーるまいぞ、やるまいぞ」

 「西は西方、極楽までも」
 「やーるまいぞ、やるまいぞ」
 (注:極楽浄土ははるか西方にあると信じられているため)

 「上は通天、上までも」
 「やーるまいぞ、やるまいぞ」

 「下は竜宮はてまでも」
 「やーるまいぞ、やるまいぞ」


 お囃子と共にこのようなかけ声で始まります。
 この部分は、修験道の護摩供養みたいで、そこから派生したものだろうか、という気がします。
 そう言えば、毎年12月23日・小野篁の命日には、ここでも修験道の護摩供養が行われていました(※シリーズ第76回参照)。

 そして今までの演目を演じてきた演者も上がってきます。スタッフ・キャスト総出演という感じです。






 まずは烏から。





 烏が、為朝に対峙している方が、数回飛んで。





 為朝と斬り結び。







 そして倒されます。






 他の演目の出演者も、全演者が次々と為朝に倒されていきます。











 寺伝にあるように、為朝に金剛杖で叩かれ倒された者は、ご本尊・えんま王の加護で善人になり、しかも病気まで治るといいことずくめとなるそうです。


 『牡丹獅子』で獅子の役をした人たちも。














 あのような難しい曲芸をするだけあって、非常に運動神経の高い方のようです。
 他にも多くの演者が次々と為朝(役)に倒されて、さらにその中には面白いパフォーマンスをした人も居るのですが、さすがにここでは全ては紹介しきれないので、ここで止めておきます。


 舞台での最後には、親鬼役、子鬼役が登場します。


















 子鬼と親鬼が為朝に向かっていき。








 その2人も為朝に倒され、平伏します。














 為朝役から、親鬼・子鬼役へと金剛杖が受け渡されます。
 おそらく来年か、数年後には親鬼・子鬼役の人に為朝役が引き継がれるものと思われます。


 前半部分が終わり、演者全員が舞台から退場し、本堂へと移動します。









 本堂へ入った演者、スタッフ全員が、本尊の前を回ります。






 「千人切」の烏役が使った(のと同じ)破魔矢が授与されます。








 この矢は災難除け、盗難除けになるとも言われ、玄関の鴨居の上に飾ると、泥棒が入った時に百貫の重さになって泥棒を押さえつける、とも伝えられています。
 この矢は一本500円で授与されますが、これを受けた人は、本堂で為朝役の持つ金剛杖で軽く叩いてもらえます。この金剛杖で叩かれると、一年間無病息災で過ごせると言われています。

 このようにたくさんの人が本堂へと並びます。






 頭、右肩、左肩、最後にみぞおちのあたりに軽く金剛杖があてがわれます。


















 こうして多くの人が金剛杖で叩かれ、功徳やご利益を授かります。









 勿論、私も杖で叩かれ、功徳とご利益をいただきました。
 こうして、今年も無事に終了しました。
 また来年の楽しみです。
 今後も受け継がれていってほしいですね。









 今回はここまで。
 また次回。





*千本ゑんま堂へのアクセス・周辺地図はこちら




*えんま堂狂言保存会のHP
http://www.geocities.jp/e_kyogen/




*千本ゑんま堂のHP
http://yenmado.blogspot.jp/




*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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