どうも、こんにちは。
シリーズ前回から、天狗や源義経の伝説や、「魔王尊(まおうそん)」への信仰で有名な洛北の霊場・鞍馬を訪れています。
今回は、鞍馬の入り口から少し進んだ部分、「護法境(ごほうきょう)」と呼ばれる辺りを歩きます。
ここには「放生池」、「魔王の滝」、「吉鞍稲荷社(よしくらいなりしゃ)」、「鬼一法眼社(きいちほうげんしゃ)」という面白いスポットがあります。
まずシリーズ前回の続きから。
ケーブル駅のある「普明殿(ふみょうでん)」の前を通り過ぎます。
保育園の運動場の上辺りから、広い参道に沿って石段の道が延びています。
ここを上ると「放生池(ほうじょういけ)」という池があります。
「放生(ほうじょう)」とは、「捕らえた生き物を放し逃がしてやる」という仏教や、仏教と集合した神道などの宗教儀式です。「生き物を殺してはならない」という仏教の「殺生戒」に基づくものですが。
ただ私が訪れた時は、池の水が少なすぎたような。これで、魚などの生き物を放して大丈夫なのかな、という気もしたのですが……。
次に「吉鞍稲荷社(よしくらいなりしゃ)」が見えてきます。
よく見ると「荼枳尼天尊(だきにてんそん)」と書かれた額が。
日本の稲荷社には、だいたい2種類あります。
ひとつは、伏見稲荷社に代表される宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)を祀る社。
もうひとつは、豊川稲荷やシリーズ第113回で紹介した「興雲庵・陀枳尼尊天堂」などのように、荼枳尼天(だきにてん)を祀る場所。
ここ「吉鞍稲荷社」は後者です。
シリーズ第113回や第115回でも触れましたが、荼枳尼天(だきにてん)とは元々、古代インドの鬼神で。人間を喰らい、邪悪で陰惨な儀式や「悪魔の契約」などに本尊として使われたという恐ろしい鬼神でもあったのです。
密教や禅宗の寺社では、古代インドや中国等の神様が、恐ろしい魔神・鬼神だった存在が、神仏として祀られていることも多いのです。
なお、ここに来た時私は、とてもうれしくなりましまた。
何故なら、元々私は、妖怪オタクでオカルト・マニアであると同時に、ファンタジーRPGオタクでもあるからです(笑)。
「魔王」に「鬼神」とくれば、わくわくせずにはいられないのです。
「吉鞍稲荷社」からさらに上がりますと、石の鳥居が見えました。
ここが「魔王の滝」!
この写真ではわかりにくいかもしれませんが、左上の社から滝の水が落ちてきています。
よく見ると滝の下に、「魔王之碑」と書かれた石碑と竜の像が。
ハァハァ。
ハァハァ…。
ハァハァゼェゼェ…。
あっ。どうも、すみません。
ついつい興奮してしまいました。
「鬼神」に「魔王」、そして「竜(ドラゴン)」とくれば……。
もう駄目です。
妖怪オタクで、ファンタジーRPGオタクの私は、こういうのに弱いんですわ(笑)。
それにしてもこの竜、本当に凄い顔をしてます。
ここで祀られている「護法魔王尊(ごほうまおそん)」とは何者か?
そして「鞍馬天狗」とは何者か?
鞍馬寺のパンフレットをには、世間で「鞍馬天狗」と呼ばれているものこそが「護法魔王尊」であると書かれていました。そして「天狗の総帥」であるとしています。
「天狗」と言えば、仏教では「仏法を妨げ、人を魔道に導く」という西欧の悪魔みたいな存在だと解されています。しかしここ鞍馬では「全てのものを存在せしめている大宇宙の力の現れ」として尊崇されているということです。
「護法魔王尊」については、「はるか650万年前に人類救済の使命を帯びて金星から降臨した」とも説明されています。
ここまで来ると、まるでSFか伝奇ものみたいな話という印象があります。
さらに。
この「護法魔王尊」は、西欧でいう「ルシファー」と同じ存在だという説もあります。
「ルシファー」と言えば、キリスト教の悪魔の王・サタンと同一の存在であり、またサタンが神に反逆する前に天使長を務めていた頃の名前でもあります。「ルシファー」とは、ラテン語で「明けの明星(金星)」を表す言葉でもあります。
ん?
鞍馬山の「護法魔王尊」は「650万年前に金星から降臨した」とされていますが……。
何らかの関連性が?
ということは、ここは「魔王」や「天狗」を、もしかしたら「堕天使ルシファー」を崇拝している霊場なのか、と思ったらますます興味が沸いてきました。
「魔王」や「ルシファー」の話はここで一旦打ち切って、鞍馬山散策を続けます。
「魔王の滝」のそばには「鬼一法眼社(きいちほうげんしゃ)」。
鬼一法眼とは元々、『義経記(ぎけいき)』という軍記物語に登場する人物で、英雄・源義経を武芸者として育てた人物として描かれていました。
京都の一条堀川に住む陰陽師(む? まるであの人みたい?)で、兵法の大家で、文武両道に優れた人物だったとされています。
そのため、幻の剣術「京八流」の祖として、また現在では剣術の神様としても崇められています。
古代中国の兵法書『六韜(りくとう)』を持っていましたが、娘と通じた源義経によって盗み見られたというエピソードも。それも源義経の強さの秘密だというのでしょうが。
なお、源義経が『六韜(りくとう)』を盗み見た後の話が、何とも酷い。
鬼一法眼は激怒して、妹婿・湛海を追っ手に差し向けましたが、義経によって返り討ちに。法眼の娘は義経に去られた悲しみのあまり死んでしまい、残された法眼は悲しみにうち沈むという話。
多くの日本人に愛された英雄・義経も随分と酷い、汚いことしているやんけ、という印象が。
この話を知ってから、私の源義経への好感度が急激に下がっているのですが……。
実を言いますと、今から3~4年ほど前に京都の妖怪絵師・伝道師の葛城玄幽氏が主催する鞍馬巡りツアーに参加したことがあります。
その時に「魔王尊=ルシファー説」や、「鬼一法眼の意外な正体」や、「修験道の意外な由来」など、鞍馬に関する面白いお話を拝聴しました。
それについては……ここで書くよりも。葛城氏に直接聞かれるか、京都を訪れた時に実際に葛城氏の主催されるツアーに参加されるか、妖怪カフェ『妖怪堂』を訪ねられるとよいでしょう。
なお、ご興味ある方は、以下で葛城氏に連絡をとられるとよろしいでしょう。
*葛城氏のTwitter
https://twitter.com/yokaido
*『妖怪堂 葛城トオルのブログ』
http://blog.livedoor.jp/maturowanumono/
「鬼一法眼社」を過ぎた後は、「九十九折(つづらおり)参道」と呼ばれる山道を上って、山頂の寺を目指します。
それでは今回はここまで。
この続きはシリーズ次回に。
*鞍馬寺へのアクセス・周辺地図はこちら。
*鞍馬寺のHP
http://www.kuramadera.or.jp/index.html
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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