見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

帰郷■猫の額ほどの祖母の菜園

2006-08-14 13:08:22 | 生き方・生活
母方の祖母は、今年3月に90歳になりました。

70歳を超えた頃から、「いつ、お迎えが来てもいいように、身辺整理を始めるよ」と、一人で暮らしている家の押入れの奥を探索し始めました。
祖母は「もったいない」を地で生きる世代。捨てたはずの私のセーターはほどかれて毛糸玉に再生し、昔の衣類は、切り揃えられた布のコレクションとなりました。
彼女の身辺整理には、果てしなく時間がかかり、90歳になっても、お迎えはまだまだ先のようです。

昨日は祖母と二人、門の前で白樺の樹皮の迎え火を焚いてから、夏の果物が供えられた盆棚の前で、手を合わせました。

30歳代で夫を失い、女手ひとつで3人の子どもと姑を養ってきた女性の逞しさなのか、90歳をすぎてもほとんど衰えない記憶力と気力に驚嘆しながら、彼女の「息子の嫁の愚痴」を聞きました。

蒲団打ちをしながら生きてきた彼女が好きなのは土いじり。特に、「種を落とさない雑草一掃技」は見事です。

彼女の小さな家の南側には、まさに猫の額ほどの庭があり、そこに、毎年10種類もの野菜を育てていますが、なめたように土に雑草が見当たりません。


夫の他界後も、さんざん虐められたという姑を最後まで看取り、彼女が一人住むようになった家は、築100年以上は経つと思われる天井の配線むき出しの古民家。

戸と柱の間に隙間が見え、すでに傾きかけている家ですが、東側と西側には、2mほどの狭い縁側がついたネズミの額ほどの中庭があり、植栽を楽しめる空間となって、なかなか風情のある造りです。

風通しのいい家なので、夏は過ごしやすいのですが、ストーブが苦手な祖母は、冬になるとダルマのように着込み、コタツに足を入れてじっと耐えて過ごすのです。

世界歩きから戻ってきたら、せめて夏野菜くらいは自給自足をしたいと考えています。
今のうちに、野菜作りのこつを体得すべく祖母に弟子入りを、と思っていましたが、もう夏も終盤になります。




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