見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

絶対的な宗教観の先にあるもの

2006-08-15 23:14:05 | 文化・映画・演劇・音楽
今日は太平洋戦争終戦の日。
TVニュースは、朝から小泉首相の靖国神社参拝を冗長に報じ、改めて、戦争を消化しきれない日本であることを痛感しました。

昼の仕事を終え、午後から再びお盆休暇の続きがとれたので、少し遠くの街まで『ユナイテッド93』を観に行きました。

試写会の評判通り、911テロへの直接的な怒りや感情移入を感じさせない、生々しい状況をドキュメンタリー形態で描いた映画でした。

ハイジャックされた4機の旅客機のうち、唯一ターゲットに届く前に墜落した旅客機の最後の2時間を、航空管制室、軍司令室、UA93便の各空間を目まぐるしく追い、緊迫する人々の表情、言動を臨場感たっぷりに描いていました。

ハイジャック犯のイスラム教徒に対する批判的な色を抑え、ひたすら、機内の人々の死に直面した恐怖心や緊迫感、そして、最期を覚悟したものが家族に残す言葉、を示すことで、誰によってなぜこの事件が起こったかの追求ではなく、事件の異常さと悲惨さを強烈に伝えようとしたように思えます。

911テロはまだ記憶に新しく、映画の最期のテロップを読みながら、こみ上げてくるものを抑えられずに号泣しそうになりました。

このUA93テロについては、米国空軍追撃説、事件捏造説等、様々な憶測が飛び交っているようですが、少なくとも5年前のあの日、政治的、人為的に多くの命が失われたことは事実であり、一昨日には、英国で911以上のテロ計画も発覚しました。いずれのケースも、自らの命を捧げようとする多くの若者がいたことは確かです。

自分の命を犠牲にしても成し遂げたいこと、守りたいこと、それは、太平洋戦争の「特攻隊」にも繋がるものなのでしょうか。

異なる宗教観や宗教文化が根底にある殺戮・紛争が今もなお続いている現実の世界をどう理解したらいいのか、終戦日と時を同じにする日本のお盆は、宗教と政治についても考える日なのかもしれません。


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