見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

初老になった自分を想像するとき

2006-07-25 22:18:17 | 文化・映画・演劇・音楽
友人を無理やり誘って、気になっていた映画を観ました。
ブロークン・フラワーズ

「あなたには19歳になる息子がいます」という匿名の手紙に翻弄される中年の独身男性を淡々と描いたもの。

主演のビル・マーレーは1950年生まれ。日本の「団塊の世代」のしっぽに当る年代で、私の周囲にいる男性諸氏の顔がいくつもオーバーラップしました。

手紙の送り主を探すべきだというお節介な隣人に押し切られ、気乗りしない顔でリストアップした女性5人を訪ねる旅に出る主人公。

同時進行で5人と付き合うには、もちろん状況に無理はあったわけで、彼が訪ね歩いて再会を果たす女性たちのほとんどは、彼の来訪を素直に懐かしんだり楽しんだりすることはできず、過去の影を引きずっている女性たちとして描かれていました。

ハッピーエンドになる恋愛の方が少なく、傷は年月を経ても完全には癒されないのだと映画は語るのですが。

昔のボーイフレンドが訪ねてきたら、若い頃の思い出を懐かしく語り合うだろうなと思う私は、それほど深く彼らを想っていなかったということになるのかもしれません。

それにしても、ビル・マーレー演じる主人公が、口数少なく無表情なのは、若い頃の「クールさ」や「ニヒルさ」の名残りの姿だと仮定しても(どうして彼がもてたのか、最後までわからなかったので)、センスのない日常のジャージ姿や口角の下がった横顔は、中年というより、初老の気配漂う枯れ始めた樹木を彷彿とさせ、落ち着いた男性の魅力をまるで感じないのは、寂しい気持でした。

最盛期の昔の自分を追う、しなびた初老の独身女性にはなりたくない、と思わされた映画でした。


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