見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

意外な客層、『闇の子供たち』

2008-09-11 23:28:24 | 文化・映画・演劇・音楽
信州から北海道に戻る経由地東京で『闇の子供たち』を観た。

長くアジアの子供買春防止活動に関わっている友人から勧められ、公開前の早い時期から注目していた作品だった。
8月の公開時、検索してみると全国の数館だけの上映で、私が鑑賞可能なのは、信州と北海道の経由地である東京の映画館のみだった。



8~10歳の幼い子供を対象とした買春、臓器売買という非常に重いテーマだ。
梁石日(ヤン・スギル)の原作を文庫本で買い、何度か挫折しそうになりながら読み終えた。470ページの最初から最後まで容赦のない描写が並び、小説とはいえ現実の闇が裏に見え隠れし、息苦しくなる。

この原作をどこまで映像化し、どこまで突っ込んで伝えようとしているだろうか。
監督は阪本順治。

名の知れた俳優がキャストに並び、マスコミも注目し始めているので、いずれ上映館が増えるかもしれないと予想していたが、信州でも11月に3映画館で上映されることになったという。



いずれにせよ、私のチャンスは東京だけだった。
新丸の内ビルで友人との昼食を終えてすぐに山手線に乗った。
「混みますよ。先日もボクは長蛇の列にうんざりして諦めた映画がありましたから」と友人が脅かす。
東京の映画館の混雑は予想がつかない。信州の映画館はいつ行っても、特等席に座ることができるのだが(昨日の『ぐるりのこと』は、私と若い男性が2人だけだった)、東京の連休に3度待ちの列に並んだことがある。

上映時間少し前に、有楽町駅前のビルの2階にある映画館の階段を上った。入り口に「只今、座って観れます」の看板が吊るされている。
そうでしょう、平日の日中だもの。
と、思いながら劇場の厚いドアを押し開けて驚いた。
すでに50人以上は着座し、入場者がさらにぽつぽつ続く。

中央の列には入り込めそうもなく、脇列に座った。

周囲に、高齢のカップルや白髪の男性の姿が目立つ。
ネクタイ姿の50代、60代の男性も少なくない。
釧路や信州の映画館で見る客層と一味違うことに驚き、映画のせいなのか、東京という土地柄なのか、としばらく考え込んだ。



映画は、というと、原作の意図をどこまで果たそうとしたのかという物足りなさが残る。
中心的人物の新聞記者が、幼児買春のペドファイル当事者であったという原作にない結末も安易だった。
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5 コメント

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私も観ます (きょうこ)
2008-09-22 06:22:37
11月8日から松本市で上映するようなので、私も観にいくつもりです。
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みたい! (ittoku)
2008-09-22 22:28:55
子供と「ナルト」をみた時、
ポスターに目が釘付け。
是非みたいと思っていますが、
どうかな?

それとも、原作の方が良いのでしょうか?
文庫本は魅力です。
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原作と映画 (wine)
2008-09-22 23:09:08
映画を観るのであれば、この作品については、原作は後で読むことをお勧めします。映画で助走して、原作にスライディングという感じでしょうか。
公式サイトで予告編も観ることができます。
http://www.yami-kodomo.jp/
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Unknown (B型パパイヤ)
2008-11-21 20:40:59
この映画を信州で見ました。そういえばワインさんが書いていたなと思って読み返したんですが、そんなに評判とは驚き。私はこれはダメだったです。テーマの難しさはあると思うけど、あまりにも安易過ぎに感じました。
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同感です (wine)
2008-11-29 23:56:38
B型パパイヤさん、いつもありがとうございます。有楽町では、この映画の前評判で観に行った人が多かったのだと思います。客層が意外だったのですが、皆さんの感想を聞きたかったです。私は、本当にがっかりしましたから。
東南アジア諸国の「明」の部分だけを観光等で見てきた人がつくった映画ではないかと思ったくらいです。
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