友人から「ポルトガルに行ったら、ポルトガルギターをぜひ聴いて」と言われている。ポルトガルギターと普通のギターはどう違うのか、彼女に言われるまで知らなかった。
ネットで検索して、ポルトガルギターの演奏を視聴してみると、楽器の形も音も、ギターというより、マンドリンに近いことがわかった。
ラゴスの旧市街で、一枚のポスターが目に入った。書かれている言葉はわからないが、中央に描かれた楽器はポルトガルギターだ。どうやら、明後日の21:30からポルトガルギターに関係する何かがあるらしい。楽器が主役のポスターなので、おそらく演奏会だろう。
確かめるために、街のツーリストインフォに行くと、「ああ、それはファドの会ですね。会員の会なので、ツーリスト向けではありません」とカウンターの女性に言われてしまった。ファドと言うのか、一般は聴けないのかと訊くと「会員のための会なので、残念ながら」と。他に一般向けのファドコンサートはないのかと訊いたが「no」の返事。しかし、会員だけの会のために、ポスターを作成して街に貼るだろうか。
諦めきれず、ポスターの貼られている文化センターに行き、再び訊いてみた。
「コンサートではなくて、コンテストです。ファドのコンテストがあるんですよ。ええ、ファドの会の開催ですが、公開なので一般の人も入場できますよ。大丈夫、行ってみてください」とカウンターの女性は言った。
開始時刻は21:30。ポルトガルもスペインと同じ。みんな、宵っ張りなのだ。食事をゆっくり済ませてから、出かけることにした。
ファドの会は、旧市街地の一角にある小さな公会堂のようなクラブハウスが会場。徐々に人が集まり、審査員が5名全員席に揃って、司会者が口火を切ったのは22:00だった。「ラゴス時間」に、待っている人たちは誰も不満を言わない(ように思えた。言葉がわからないので、顔色を見て思うだけだが)。土曜の夜は長い、急かしてはいけないのだ。
そして、丸いポルトガルギターとクラシックギターと4弦のバスギターの3人のギター奏者がステージに上がり、ファドのコンテストが始まった。
私は「ファドの会」が、ポルトガルギターのコンテストだと誤解していた。コンテストが始まると、3台のギターは伴奏役で、ステージ下に座っていた10人ほどの男性が、順番に前に進み出て、マイクに向かって声を張り上げたのだ。
「ファド」とは、ポルトガルギターを伴奏に歌うポルトガルの伝統的な歌謡のことだったのである。音調はフラメンコの歌に似た雰囲気の情熱的な響きだ。
どうやら、聴衆は出演者の家族や友人たちのようで、一人二曲の持ち歌を歌い終わると、盛大な拍手が上がった。地域の文化祭の乗りである。上手な人もいれば、ファドの知らない私でも「?」と思える歌い手もいる。ファド同好会のコンテストなのかもしれないが、それにしては、審査員はさもさもらしい風貌で神妙にペンを走らせていて不思議な雰囲気だ。
一人二曲を歌うので、3人歌うとすでにかなり夜も更けてきたが、観客は真剣に聞き入っている。歌詞がわかれば、きっと情熱の愛を語っているのか、失恋の痛手にないているのか等が理解できて歌い手の表情にも感情移入できるのだろうが、残念ながら歌い手の声と会場の雰囲気を楽しむしかない。このコンテストは真夜中まで続くに違いない。そっと会場を後にしながら、どこかで、プロのファドを聴いてみたいと思った。
ネットで検索して、ポルトガルギターの演奏を視聴してみると、楽器の形も音も、ギターというより、マンドリンに近いことがわかった。
ラゴスの旧市街で、一枚のポスターが目に入った。書かれている言葉はわからないが、中央に描かれた楽器はポルトガルギターだ。どうやら、明後日の21:30からポルトガルギターに関係する何かがあるらしい。楽器が主役のポスターなので、おそらく演奏会だろう。
確かめるために、街のツーリストインフォに行くと、「ああ、それはファドの会ですね。会員の会なので、ツーリスト向けではありません」とカウンターの女性に言われてしまった。ファドと言うのか、一般は聴けないのかと訊くと「会員のための会なので、残念ながら」と。他に一般向けのファドコンサートはないのかと訊いたが「no」の返事。しかし、会員だけの会のために、ポスターを作成して街に貼るだろうか。
諦めきれず、ポスターの貼られている文化センターに行き、再び訊いてみた。
「コンサートではなくて、コンテストです。ファドのコンテストがあるんですよ。ええ、ファドの会の開催ですが、公開なので一般の人も入場できますよ。大丈夫、行ってみてください」とカウンターの女性は言った。
開始時刻は21:30。ポルトガルもスペインと同じ。みんな、宵っ張りなのだ。食事をゆっくり済ませてから、出かけることにした。
ファドの会は、旧市街地の一角にある小さな公会堂のようなクラブハウスが会場。徐々に人が集まり、審査員が5名全員席に揃って、司会者が口火を切ったのは22:00だった。「ラゴス時間」に、待っている人たちは誰も不満を言わない(ように思えた。言葉がわからないので、顔色を見て思うだけだが)。土曜の夜は長い、急かしてはいけないのだ。
そして、丸いポルトガルギターとクラシックギターと4弦のバスギターの3人のギター奏者がステージに上がり、ファドのコンテストが始まった。
私は「ファドの会」が、ポルトガルギターのコンテストだと誤解していた。コンテストが始まると、3台のギターは伴奏役で、ステージ下に座っていた10人ほどの男性が、順番に前に進み出て、マイクに向かって声を張り上げたのだ。
「ファド」とは、ポルトガルギターを伴奏に歌うポルトガルの伝統的な歌謡のことだったのである。音調はフラメンコの歌に似た雰囲気の情熱的な響きだ。
どうやら、聴衆は出演者の家族や友人たちのようで、一人二曲の持ち歌を歌い終わると、盛大な拍手が上がった。地域の文化祭の乗りである。上手な人もいれば、ファドの知らない私でも「?」と思える歌い手もいる。ファド同好会のコンテストなのかもしれないが、それにしては、審査員はさもさもらしい風貌で神妙にペンを走らせていて不思議な雰囲気だ。
一人二曲を歌うので、3人歌うとすでにかなり夜も更けてきたが、観客は真剣に聞き入っている。歌詞がわかれば、きっと情熱の愛を語っているのか、失恋の痛手にないているのか等が理解できて歌い手の表情にも感情移入できるのだろうが、残念ながら歌い手の声と会場の雰囲気を楽しむしかない。このコンテストは真夜中まで続くに違いない。そっと会場を後にしながら、どこかで、プロのファドを聴いてみたいと思った。