見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

既得権を守りたい心

2006-07-31 23:26:16 | 政治・社会
指定管理者制度では、民間事業者が公共サービスに携わる大きな契機となりました。
民間事業者というのは、大企業からボランティア団体まで、行政以外の団体はすべて入ります。もちろん、外郭団体と称される公益法人(社団、財団)や第三セクターも、その仲間です。
「民間事業者」というと、「企業」のみを指すと誤解している人が意外に多いのですが…。

この9月に、指定管理者制度が完全実施されるため、全国の自治体では、公共施設の管理運営を民間に開放する動きが加速されています。
が、そもそも各々の施設の本来的目的を議論・吟味されることなく、安易に民間に任せようとするケースも少なくなく、各地で問題が噴出しているのも事実です。

公共施設を自治体の直営にする以外は、民間事業者を指定管理者にすることになり、事業者の選定は、基本的には「公募」か「特命指定」かになります。
公募の場合、問われるのは自治体側の選定に関る方針、基準、選定委員会の責任範囲などで、そこに自治体は苦慮します。

しかし問題は、公募をせずに従来から関りの深い事業者に「特命指定」する施設がかなりの数あるということです。

本来考えれば、よりよい市民サービス、公共サービスを求めて、事業者を比較選定することが公共施設利用者の利益に適うわけですが、どうも、ことはそう簡単にいかないようです。

「来年から、施設管理者を公募したいと相談したら、既存の委託事業者が怒ってそっぽを向いてしまいました」
と、信じられないような職員の嘆きが聞こえます。

これまで市民利益に適うサービスを提供してきた実績と自負があるのであれば、堂々と公募に応じ、正々堂々と選ばれればいいと思うのですが、どうやら、
「公募するということは、私たちのこれまでの実績を自治体は評価していない」と思うようです。

あなたたちは、確かに市民サービスの一端を担ってきてくださいました。
でも、今の時代、他にも類似サービス提供者が出てきたので、すべての事業者に、公平平等な機会を提供したいのです。

という理由は、既得権を得た団体には通用しないことが多々あります。
自分たちのサービスを評価してもらいたいという仕事に対する自信はどこにも見当たらず、単に既得権を手放したくないという意地だけが漂っています。

「既得権」という美味しい権利を手放すことは、公共サービスを担う組織としてのプライドを捨ててもできないのかもしれません。
市場化テストがスタートする今、行政自体も同様のことが問われていると言えるのですが。


ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログへ




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« これには期待できるかもしれない | トップ | 旅の風景■最初のイングランド »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・社会」カテゴリの最新記事