見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

旅の風景■最初のイングランド

2006-08-01 23:16:05 | 過去の旅
世界歩きの計画を立てていると、これまで自分が歩いてきた国のことを思い出します。

初めて海外に出たのは、1983年24歳の夏。車のローンを払い終えて、ようやく遊ぶお金が貯まった頃です。

夏期休暇+有給休暇をつなぎ合わせて一ヶ月間の休みをとり、イギリス、フランス、ローマの3都市を結ぶエアチケットを買いました。
今ほどメジャーではなく、隠れたバイブルだった『地球の歩き方』を抱え、スポーツバッグ1つで単身、ロンドンのヒースロー空港に降りたのです。

見るもの、聞くことすべてが、異質で、意外で、珍しく、日本に帰ったら、あれもこれもみんなに伝えたいと、カメラのシャッターを押し続けました。



↑ヒースロー空港行きの地下鉄の宣伝ポスターも撮るほど舞上がり、1ヶ月で36枚フィルムを30本以上消化してしまったほどです。

一人旅は何の束縛もなく気楽ですが、宿探しには、苦労しました。

B&B(Bed and Breakfast)では、一人は受け入れてもらえず、「表に立って、相棒を見つけなさい」と何度か言われました。

B&Bのリッチな朝食は魅力的でしたが、宿探しに疲れたときは、移動をあきらめ、YWCAにしばらく滞留したり、親しくなった留学生の下宿にころがりこんだりしていました。

その時に出会った中国系アジア人の留学生たちからは、今の自分のあり方に大きく影響する多くのことを学びました。

インドネシア、マレーシア、シンガポール等々から、設計・ビジネスなどの専門技能を学びに来た彼らは、全員が中国系。共通言語は、北京語と英語。

「できれば英国で就職できたらと思っていたけれど、この国は、私たちアジア人を明らかに蔑視していて、共生できないと確信したよ」
ソーホーの中華街で食事を共にしながら、彼らは、彼らの多文化国家のこと、ロンドンの学生生活、差別意識、イギリスに対する失望、日本のイメージ、職に対する考え方など、様々なことを夜遅くまで語ってくれました。

日本に帰った私は、「日本の中にある、アジア人に対する偏見」について考えるようになり、そのときの彼らとの日々で気づかされた自分の無知と了見の狭さを、いつも意識するようになりました。


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