見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

タイルの壁の街、リスボンへ

2007-11-22 03:04:59 | ポルトガル
ポルトガルの首都リスボンに移動した。ここへ来た大きな目的は、南米へ渡るための二つの手続きを進めること。



欧州の首都はどこも長い歴史を肌で感じる街ばかりで、常に好奇心が刺激されて気持ちが落ち着かない。かといって、子どもの頃に歴史や音楽や美術の時間に学んだものをこの目で確かめたいという欲も抑え難い。
ポルトガルでは、刺激と誘惑の少ない小村ラゴスを選び、そこでたまった資料の整理や南米行きの準備をし、マドリッド経由でリオデジャネイロへ入ろうと考えた。

ところが、南米へ渡る準備を進めるうちに、マドリッドで取得予定のブラジルビザと、接種しない予定の黄熱病ワクチンの件が二転三転した。様々な機関や個人から情報をいただいた結果、ポルトガルの首都リスボンで、それら二つの手続きを進めることがベストと思えた。
もともと、事前に購入した航空ルート以外は何も決まっていない旅だ。ラゴスからバスで4時間の首都リスボンへ向かうことにした。



ポルトガルについては、フランシスコ・ザビエルやバスコ・ダ・ガマに代表される大航海時代のイメージばかりが先行し、現在の風俗や文化に関する情報はほとんどなかった。
が、リスボンの市街地に入るとすぐに、タイル壁に光を反射させる家並みや、家屋の谷間にある急な坂道を上り下りする一両編成の可愛い路面電車に魅了された。タイルが剥げて落ちている壁や、雨だれの跡が茶色にくすんだタイル、崩れかけた煉瓦の階段、塀の汚い落書きも含め、時間と共に過ぎ去った輝かしい時代の残光を感じさせるノスタルジックな風景にほっとした。



滞在先に選んだB&B(朝食付き民宿)が、行ってみると、風変わりなオーナーのアンティック家具満載ブルジョワジー住居だった、ということも、リスボンのイメージを脚色したのかもしれない。
事務的な渡航準備のためだけに滞在するつもりだったリスボンだが、その魅力と刺激には目と耳を閉じていることはできなくなってしまった。


↑「数百万するアンティック家具なので、扱いに注意してください」の注意書きがあるB&Bの部屋。


↑共同のバス・トイレにも、ポルトガルの装飾タイル(アズレージョ)装飾。



■リスボンの街を飾る伝統的な装飾タイル(アズレージョ)■

タイルの文化は欧州全体にあるようだが、特にスペイン、ポルトガルに装飾タイルを多く見る。ポルトガルに装飾タイルが普及したのは貴族たちが好んで装飾に持ちるようになったポルトガル黄金時代の16世紀。装飾タイルが張られた家の壁面は太陽の光線を反射すると宮殿のような豪華な光を放つが、手入れをする人がいなくなった家屋の一枚、二枚とタイルの剥げ落ちた壁面は哀しい。


↑宿の近くの小学校。壁一面が光に輝く美しいタイル張り。


↑丘の上のカフェの内装一面を飾る装飾タイル。これは柱の下部。


↑バーの入り口の看板と案内。


↑外装一面を装飾タイルで飾る家屋も少なくない。


↑お菓子屋さんの玄関口を飾る古い装飾タイルの絵。


↑スペイン、ポルトガルに多い歩道のモザイク模様


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