見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

旅の風景■フロリダの公立学校の先生

2006-09-07 23:04:03 | 過去の旅
フロリダ州の公立中・高等学校を訪問したのは1990年頃ですが、校舎の造りから、授業の体制まで、教師にとっては大変働きやすい環境でした。

就業開始時間の直前まで、校舎の入り口は施錠されているため、生徒は校舎に入ることができません。入ったとして、落ち着くホームルームはないのです。

教室は、基本的に教師のものです。
教師は、自分専用の教室を持ち、授業に有効な教材で個性的な装飾をしたり、教える教科に相応しい教室環境を工夫しています。生徒は、チャイムと共に入り、チャイムと共に立ち上がって去っていきます。チャイムと共に動く正確さはたいしたもので、日本であれば、チャイムより教師の号令が優先されるところが大きく異なります。

生徒にとっては、廊下のロッカーだけが自分のプライベートスペースです。教室に自分の机というものは存在しません。ロッカーで教科書を入れ替えては、時間ごとに各教室を回ります。
教室の入り口のドアにも鍵がかかり、授業時間外には入室できないようになっています。教室の廊下側には窓がなく、他の生徒や教師が中を覗くことができないのが通常です。教室は、教師のプライバシーと管理下に置かれているわけです。

公立学校には、日本のような校則は基本的に存在せず、例えば服装についてのコード(原則)では、「サングラス、つっかけ、シースールーの透けたシャツは禁止」程度の簡単なルールがあるだけです。制服があるのは私立学校でした。

その一方で、成績は基本的に学校が直接親に報告する責任をもち、親宛に文章で発送していました。日本であれば、親に成績表見せないというケースもあるのですが、フロリダの生徒は不可能です。

職員専用の休憩室もあり原則として生徒は立ち入り禁止。授業中は、警備担当の先生がトランシーバーを片手に巡視。
素行に問題のある生徒には専門家が対応し、メンタルなケアも専門家が行い、一般の教師は、教科学習を生徒に習得させることに専念します。
問題を起こした生徒は、校長が自ら接し、親を呼ぶこともよくあるとのことでした。



昼食は、カフェテリアでお弁当を広げる子、配膳されるメニューから好きなものを選ぶ子など、それぞれの昼食を食べます。昼食中を監督する先生も輪番制。他の教師は、生徒が来ない休憩室でゆっくり1時間の昼食タイムを楽しむことができ、日本の先生が聞いたら本当にうらやましい職場環境でしょう。

教師の雇用は、学校の校長面接で採用というケースが基本。校長は一般教師とは別の特別な資格が必要で、それゆえ、日本とは質も重さも違う学校経営の責任と権限をもちます。
米国の長い休み期間中は、契約対象外の期間なので、多くの教師は生活のためにアルバイトをするということでした。
給与体系や身分保障については、日本の方が安定しているということになります。

日本とフロリダ州の教師。職責や待遇がかなり異なるため、どちらに就職するのがいいかは、個人の価値観によって左右されそうです。



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