旅の風景■原付バイクのラッシュに会うベトナム

ベトナムに入ったのは２０００年を迎える直前の年末でした。

ホーチミン市中心部にある公園周辺は、
ミレニアムを迎える祭典の準備で騒然としていました。
３１日夕方から、国民テレビ局が全国に生中継するということで
大きなステージが設置され、様々な食べ物を売る屋台が並び、
花や彩り豊かな装飾が一帯を飾っていました。

食べ物屋が、歩道に迫り出しすテラス方式のスタイルで
テーブルとプラスチックのイスを車道に向けて横に並べる姿や、
幹線道路の両脇では、
フランスパンが列を成して販売されている姿を見ると、
ベトナムがフランス植民地だったという歴史を認識します。

中国では、朝夕に仕事場に向かう自転車の大群を見ましたが、
ベトナムの朝夕は、原付バイクの大群がラッシュを作っていました。

赤信号になると、道路幅いっぱいに原付バイクが並ぶ光景は、
その小型バイクのそれぞれから発せられる爆音の唸りとマッチして
ベトナムのエネルギーと活気を感じる一場面です。
前のタンクに小さな子どもを乗せ、後ろに奥さんらしい女性
そして、さらに奥さんと自分の間にもう一人子どもを座らせ、
４人乗りで走っている一家も少なくありません。
多くの女性は、サングラスをかけ、帽子を深く被り、
ひじ上まである長い手袋をし、完全な日焼け対策をした上で
バイクにまたがります。



腰までスリットの入ったアオザイを来た女性は美しく、
農村に入ると、地域の人々総出で農作業に係る風景は叙情的で、
ベトナム戦争の悲惨な歴史を経た国であることを忘れそうになりました。



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