見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

もう一度やりたい企画

2008-11-22 23:18:33 | 旅の風景
「いのちを大切に考えるしくみをつくりたい」と様々な構想を練っているヨシダさんが、羽仁カンタさんに会おうと言った。
環境に関わる幅広いフィールドで、企画や運営に精力的に活躍する環境活動家だ。

有楽町の国際フォーラムで「ケータイゴリラ」のキャンペーンイベントを終えたばかりの羽仁さんと会った。



「ケータイゴリラ」キャンペーンを思いついたきっかけや、若者に環境意識を普及させる戦術の話は興味深く、ヨシダさんが惚れ込んだ理由がわかるような気がした。
彼の話は気負いや枠を感じさせない。
環境に関わる活動から始まり、自身のプライベートな生活まで、率直な心情を加えて軽快に語る彼の言葉と表情には、聞く人を引き込ませる説得力に満ちていた。

一般市民の意識を、いかに環境に向けるかの戦術を楽しんでいる彼に、
「今までの企画の中で、もう一度やってみたいと思うほど印象深いものは何?」と聞いてみた。
無数の企画を実施している彼の代表作を知りたいと思ったのだ。

彼は、白ワインのグラスを傾けながらしばらく考えた後、言った。
「失敗した企画という意味で、機会があればぜひもう一度やってみたいものがあります」と。

彼が挙げたのは、環境に関する企画ではなかった。

カナダから来日したホワイトリボンキャンペーンの創始者に触発されて、日本でもやろうとした「DV(家庭内暴力)反対キャンペーン」だ。
3人にひとりの男性が妻や恋人に暴力を振るっている、という対女性暴力の防止に友人たちと取り組もうとした。5年前のことだ。

「男性が、対女性暴力反対キャンペーンをするということが面白いと思ったんですよ。男が、男を対象にやることに意味があるってね。」

しかし、うまくいかなかった。
「男性にキャンペーンへの参加を呼びかけるでしょ。すると、『DV?仕方ないんじゃない。近頃の女は生意気になったからね』と言う人が少なくなかったんです」

なるほど、悲しい事実だ。
それでも、再びやりたいと言う羽仁さんが頼もしい。
相手が理解しようとしまいと関知せず、難しいことを難しく伝えるのは楽だ。
難しいのは、誰にでもわかる言葉や方法で、自分が伝えたいことの要点を相手に伝える知恵を絞り出すことだろう。
挫折を挫折のままにしない彼の姿勢が羨ましかった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ツアー・ラッシュ | トップ | 下町の風景 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

旅の風景」カテゴリの最新記事