見果てぬ夢

様々な土地をゆっくりと歩き、そこに暮らす人たちに出会い、風景の中に立てば、何か見えてくるものがあるかもしれない。

信じていることが揺らぐとき

2009-02-18 23:55:03 | 旅の風景
環境問題はいつも頭の隅にある。

だからというわけではないが、ずっと喉の奥にささった小骨のようにひっかかっていたことを真正面から書いた本があるというので、数冊読んでみた。

『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』武田邦彦

『正義で地球は救えない』池田清彦+養老孟司

『偽善エコロジー』「環境生活」が地球を破壊する 武田邦彦

中を一ページも開かなくとも、それぞれの帯や表紙に走るキャッチコピーを読むだけで、筆者の挑戦的姿勢がはっきり見える。

・「環境を守りましょう」という精神運動は、どこまで暴走していくのか!?
・資源7倍、ごみ7倍になるリサイクル、
・企業の金儲けと環境省の省益にまみれたエコ事業・商品にダマされるな!
・家電リサイクル、エコバッグ、ペットボトル回収…庶民だけがバカをみる。
・じゃあ本当のエコとは?

もちろん、中身もどこまでも攻撃的だ。
なるほどと思わせる数字や根拠が並び、マスコミや政府に躍らされるなと警告している過激(?)なトーンの本である。

武田邦彦氏と池田清彦氏は大嫌い。全く相手にしない。という友人が周囲に少なからずいる。
著者である大学教授たちの主張の正否はともかく、市民に逆説的選択肢を与えるという意味では、閉鎖的な日本社会の教育環境を揺らす貴重な存在である。


先日、仕事で行った北陸の某市庁舎の一階にあるガラス張りの「レストラン」で、職員にマイはしの使用を呼びかける表示を見た。
よくあるところの割りばし使用の抑制ではなく、レストラン常備の「ぬりばし」使用を控えるよう呼びかけているもの。
表示の発信者が「環境政策課」なので、環境政策に関したアクションなのだろう。
でも何の効果を狙って?
実は、食堂の箸と持参箸の使い分けの意味が、未だによくわからない。質問しようと思いつつ、何となく訊きそびれてしまった。


最近、「環境問題」に関わる社会的アクションについては、たびたび混乱する。
近所の西友では、レジ袋を断ると合計金額から2円引いてくれるし、沖縄の大手スーパーでレジ袋を要求すると5円加算された。
思わず、どちらのスーパーの方が、戦略的かと考えてしまう。



前出の某市で泊まったホテルのバスルームに、わかりやすい注意書きが置かれていた。
「ゴミ減量化のため、カミソリの取替えはいたしません。(概ね、7回以上はご利用いただけます)」

すっきりしている。
「ゴミ減量化のため」という目的が明快かつ簡潔。

それを読んだ客が、それぞれの価値観によって、「地球のために」「環境のために」「コスト削減のために」「モノを大切にするために」など、いかようにでも解釈できるところにセンスの良さを感じてしまうのは私だけだろうか。


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