小関順二公式ブログ

プロ野球、アマチュア野球、野球史

明治神宮大会高校の部のベストナイン選出

2014-11-25 12:56:48 | 2014年高校野球

 今回は明治神宮大会・高校の部のベストナインを考えた。選考基準は大学の部と同様に「プロ好みがするかどうか」。この高校の部は新チーム結成間もないこともあり成熟度はいまいち。その中で目立ったのが遊撃手だ。

 仙台育英の3番平沢大河は走攻守すべての面が高レベルで、東海大菅生の4番江藤勇治(2年・右左・175/65)はイチローばりの前重心での好打と好守、敦賀気比の3番林中勇輝(1年・右右・178/66)は浅い縦スイングで捉えた打球の強さが1年生とは思えない迫力だった。この3人の中で選んだのが平沢。三塁打のときの三塁到達が11.25秒と別格で、決勝戦で見せた2つの好守も江藤、林中を上回る。全国的に見てもこれだけの選手は少ないだろう。

 一塁は浦和学院の4番山崎滉太が打球の強さで抜きん出た存在。ただ、私用で見られなかった天理には近畿大会で魅了された坂口漠弥(2年・右右・185/90)がいて、さらに3番舩曳海も全国レベル。一塁は山崎で仕方ないが、外野の一角には舩曳を選出したい。外野の残り2ポジションはともに投手兼任の勝俣翔貴と平沼翔太を選んだ。

 投手は優勝投手の佐藤世那以外では平沼くらいしか候補がいなかった。故障上がりで大会数日前までノースローだった平沼では勝負にならず、佐藤を順当に選出。要望はヒジを使えないアーム式と、右腕が深く背中のほうまで入るテークバックの矯正。強い腕の振りが今のままのフォームでは仇になる。

<高校の部・ベストナイン>

[捕]郡司裕也(仙台育英2年・右右・180/76)

[一]山崎滉太(浦和学院2年・右右・182/85)

[二]臺 浩卓(浦和学院2年・右左・170/72)

[三]諏訪賢吉(浦和学院1年・右左・175/73)

[遊]平沢大河(仙台育英2年・右左・176/71)

[外]勝俣翔貴(東海大菅生2年・右左・180/78)

[外]舩曳 海(天理2年・右左・182/72)

[外]平沼翔太(敦賀気比2年・右左・178/75)

[投]佐藤世那(仙台育英2年・右右・180/76)


今夏甲子園のストップウォッチランキングBEST 3

2014-09-04 18:07:41 | 2014年高校野球

 今夏の甲子園大会、打者走者の各塁到達タイムを調べ終わりました。ホームページの「ストップウォッチランキング」に反映させていますので、興味のある方は覗いてください。ここでは各塁到達タイムと捕手の二塁スローイングタイムのベスト3を発表します。

 注目はバントをしたときの一塁到達タイムで、健大高崎の1番打者・平山敦規が3.48秒を記録したことです。それまでの最速は昨年7月6日に計測したDeNA・モーガンの3.50秒。これを高校生が破ったといっても、平山の今夏の走塁を見ていれば何の不思議もありません。足だけなら十分プロ級の選手ですから。

 

◇一塁到達タイム(バント)

8月22日 2 3.48秒 平山 敦規(健大高崎)3年

8月13日 2 3.67秒 川崎拳士朗(鹿屋中央)3年

8月18日 1 3.74秒 山口 尚輝(日本文理)2年

 

◇一塁到達タイム(バント以外)

8月14日 1 3.67秒 高橋 隆生(山形中央)3年

8月20日 1 3.80秒 米満  凪(敦賀気比)3年

8月21日 1 3.82秒 堀口 裕真(近江)  3年

 

◇二塁到達タイム

8月11日 3 7.89秒 篠原  涼(敦賀気比)2年

8月22日 1 7.91秒 小太刀緒飛(日本文理)3年

8月15日 2 7.97秒 峯本  匠(大阪桐蔭)3年

 

◇三塁到達タイム

8月12日 5 11.15秒 種田 真大(大垣日大)3年

8月15日 3 11.20秒 大西 涼太(智弁学園)3年

8月12日 4 11.27秒 大久保隆志(大垣日大)3年

 

◇本塁到達タイム

8月12日 2 15.98秒 古谷 勇斗(藤代)  3年 ※ランニング本塁打

 

◇捕手のイニング間

8月11日 1.79秒 岡田 耕太(敦賀気比)  3年

8月11日 1.81秒 守屋 元気(春日部共栄) 3年

8月15日 1.81秒 吉田 高彰(智弁学園)  3年

 

◇実戦

8月17日 1.87秒 岡田 耕太(敦賀気比)  3年 ※1回の二盗刺

8月12日 1.88秒 内藤 大貴(大垣日大)  3年 ※外して送球

8月13日 1.95秒 太田  光(広陵)    3年 ※4回の二塁けん制

 

http://kosekijunjihomepage.com/


夏の甲子園大会ベストナインを選出

2014-08-27 12:50:54 | 2014年高校野球

 大阪桐蔭の優勝で幕を閉じた第96回選手権のベストナインを考えた。今大会、一度も守ったことのないポジションへのコンバートは禁止。純粋に各ポジションのナンバーワン選手を独断で選出した。なお、野手8人に対して投手1人では不公平なので、投手は5人にした。

 [捕手]岡田耕太(敦賀気比3年・右右・173/80)

坂出商戦、イニング間最速1.79秒の強肩を披露。春日部共栄戦では実戦で1.87秒

[一塁]岡本和真(智弁学園3年・右右・183/95)

明徳義塾戦で敗北も、好投手・岸から4打数2安打1打点。存在感が圧倒的

[二塁]峯本 匠(大阪桐蔭3年・右左・172/72)

2番打者でありながら犠打0、打率5割と強打大阪桐蔭を牽引した。俊足も目立つ

[三塁]香月一也(大阪桐蔭3年・右左・175/82)

同校中唯一のプロ志望らしく堂々とした体格。明徳義塾戦では岸から先制2ラン

[遊撃]浅井洸耶(敦賀気比3年・右右・177/68)

盛岡大付戦で松本から1イニング8得点の呼び水になるソロホームランを放つ

[外野]脇本直人(健大高崎3年・右左・180/80)

ナンバーワン野手。三塁打のときの三塁到達は最速11.36秒。長打も備える

    長野勇斗(三重3年・右左・171/67)

計測した各塁到達の俊足率は.632。健大勢を抑えて堂々のトップ。強打も備える

    朝山憲広(作新学院2年・右左・175/73)

初戦敗退も沖縄尚学戦で放った左中間への先制ホームランは見事。

[投手]青島凌也(東海大相模3年・右右・177/76)

腕を振って投げ込むストレートとスライダーは今大会屈指。もっと長く見たかった

    森田駿哉(富山商3年・左左・183/79)

美しいフォームから最速144キロの直球とスライダー、チェンジアップを投げ分ける

    逢沢峻介(関西3年・左左・175/72)

下級生時から甲子園を経験も、マウンドで投げるのは初めて。これほどいいとは

    岩下大輝(星稜3年・右右・181/83)

1、2回戦の物足りなさが3回戦で解消。しっかり割って投げるストレートは一級

    石川直也(山形中央3年・右右・191/78)

1、2回戦は不満だったが、難敵・健大高崎戦では腕を振って投げ、脇本から三振

  投手では山城大智(沖縄尚学)、吉田嵩(海星)、岸潤一郎(明徳義塾)、藤嶋健人(東邦1年)、平沼翔太(敦賀気比2年)、吉田凌(東海大相模2年)、飯塚悟史(日本文理)もよかったが、そのへんは個人の好みを優先させてもらった。

 即プロ、というドラフト候補は少なく、3年後、4年後の選手が多かったが、私は近年になく面白く観戦した。


西嶋の超スローボール、健大高崎の機動破壊をめぐる話

2014-08-19 21:31:05 | 2014年高校野球

 今日の日刊スポーツを読んでいたら、西嶋亮太(東海大四)のスローボールが一部で批判されているとか。健大高崎の大量リードでの盗塁も批判の対象になっているとか。おいおい待ってくれよ、健大高崎の盗塁は1回=4個、2回=2個、3回=3個だよ。得点経過は1回=3点、2回=0点、3回=2点だから、ほとんどの盗塁は大量リードでの盗塁ではない。そもそも「大量リードしているから盗塁してはいけない」というのはアメリカの暗黙のルール。日本の高校野球にもそれを適用しろ、というのはあまりにも乱暴な話。
 西嶋のスローボール、これは誰にでもできるというものではない。以前、金田正一氏の超スローボールをテーマにNumberに書いたとき、金田さんは取材で「あれは誰に投げてもいいというボールじゃない。ONクラスにしか投げなかった」と語ってくれた。ちなみに超スローボールの元祖は金田さん。子どもの頃、テレビでたまに投げる超山なりのスローボールに私は父や兄と歓声を挙げていた。その最高の技術を言うに事欠いて「投球術とは呼びたくない」とは、この元アナウンサーは野球のことなんかちっともわかっていないんだと思った。こういう週刊誌的な話題が甲子園で取材している私たちには本当にピンとこない。


九州の快腕が熊本大会3回戦で姿を消す

2014-07-23 12:03:57 | 2014年高校野球

◇7月18日(金曜日)藤崎台球場

熊本大会3回戦

城北7-4多良木

 

 149キロ右腕、多良木3年の善武士(右投右打・177cm/67kg)がこの日の注目選手だ。試合前のブルペン投球からストレート、変化球が抜けたり引っ掛かったりして本調子でないことがわかった。始動のとき上げた左足が軸足の後ろに回り込むことによって上体にねじりが加わり、このねじり返しの反動が左肩の開きを早め、ボールの抜けにつながっていく。そして抜けないように必要以上にボールを抑え込もうとすればボールが引っ掛かる、悪癖のメカニズムはそのあたりにあるのだろう。

 プロで似たタイプ(投球フォーム)を探そうとすると、まだ一流になっていない選手ばかりが目に浮かぶ。たとえば三嶋一輝(DeNA)だろうか。ストレートは序盤から140キロ以上を計測し、最速は145キロに達した。177センチと大柄でなくても、少し力を入れれば143、4キロに達する“排気量”の大きさはプロ好みと言っていい。

 変化球は90キロ台のスローカーブを投げるとき腕が振れ、いい縦変化をして意外だった。それに対して120キロ台前半の横スライダーは腕の振りが緩み、変化の小さいカット気味のスライダーのときは腕が振れるなど、いろいろな部分で未完成である。

 勝ち越しを許した8回表2死三塁の場面で4番楢原勇海に対して初球、この日の最速145キロのストレートを投げるが、これをセンター前に弾き返される。速くてもコースが甘ければ打たれるという教訓はこの快速球投手を成長に導くだろうか。