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九月の恋と出会うまで

2019-03-12 21:06:01 | 映画2019
 タイムパラドックスについて丁寧に説明してくれる良質SF恋愛映画といったところか。主人公平野(高橋一生)が営業マンをやりながらSF小説家を目指すという設定なので、その辺のタイムトラベルものではお手の物なのだ。

 タイムパラドックスものとはいえ、場所が詩織の部屋が中心となるため『オーロラの彼方へ』のような声のみのタイムスリップ。詩織が本来なら死んでいることから、パラドックスが起こることを恐れるという、普通のドラマとは逆のパターンが新しいといえば新しい。しかし、詩織が殺されるという点は推測でしかないので、ストーリーはアンビギュイティの上に成り立つ不安定なものだ。

 平野をシラノと聞き間違えたことから声の主X=シラノとして話は進むが、尾行を本人として扱っているのでシラノ=平野でしかないことが痛いところ。強いアイテム元カレが登場しようが歴史は歪められないのだ。この曖昧さを推すところが平野の照れ隠しの表れなのか、本当にバカなのかは定かではないが、簡単に結末が想像出来るのもパラドックス初心者向けの作品といったところでしょうか。

 パラドックス回避のためにはリープの繰り返し、パラレルワールドの発想、歴史修正せずに忠実に再現することの3通りの方法しかないとのこと。SF好きには大好物な内容でしたが、とにかく静かな作品。恋愛苦手な平野を中心とする純愛を楽しむ映画でした。

★★☆

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