予告編に騙された(いい意味で)と思ってる人は多いのではないでしょうか。「死にたいから、殺さないで!」なんて台詞が耳から離れないばかりか、開演前にもCM流す映画館のわざとらしさ。ホラーもしくは萩尾望都の『11人いる!』的なストーリーだと思っていたのに、明らかに名作『十二人の怒れる男』のような密室舞台劇だった(タイトルで気づけよ!)。アメリカの陪審制度、最近の日本でも裁判員裁判が導入され、評決は全員一致が原則であるという、究極の民主主義を表現しているとさえ思える内容だったのだ。
12人それぞれの死にたい理由が次々と明かされていく中、13人目である死体が置かれている密室。車いすや脱ぎ捨てられたスニーカーなど、短時間で散りばめられた証拠物件も見つかり、それらが犯人=闖入者の存在を仄めかすものの、廃病院経営者の息子が主催者であるため鉄壁な犯行だとも思われた。やがて、明らかな他殺体が紛れ込んでいる限り、素直に自殺することができないと苦言を申し立てられ、事件を解決してから集団自殺を実行しようという案が採決される。
それぞれの違った境遇や自殺理由も興味深いものがあったし、2や11のような空気を読まずに笑わせてくれるキャラも存在する。推理好きな5や何でも出来る9といった性格も面白いが、根本的に同じなのは、自分の意思によって“死”を決めたいという願望だ。実際集団自殺が行われる現場の雰囲気とは違うところもいい(立ち会ったことないので知りませんが、もっと悲観的な会話しかないと思う)。
『十二人の怒れる男』を思い出した人は、もう一度見たくなること間違いなし。もしかするとキャラも被ってるんじゃないか・・・とか、調べてみたくなります(笑)。
★★★★
文庫の表紙を見た瞬間・・・要するにタイトルであの作品へのオマージュだと思い、同時にああいう終わり方になると確信してました。
原作3分の2ほど読んで、12人のキャラがも一つつかめなかったので読むのをやめて(笑)
あの作品とのキャラかぶりはなかったですが、よく考えたら日本でも導入された「陪審員制度」って基本拒否できないわけで、この映画のように目的をおなじとした12人じゃないってことで、本当は全然内容が違いますね。
ネットでの評価は別れていますが、私は好きな作品ですね。やっぱ親の立場で見ちゃうからかなぁ(笑)