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バジュランギおじさんと、小さな迷子

2019-01-24 01:10:23 | 映画2019
 『ライオン 25年目のただいま』でも感じたインドの広さ。グーグルアースを使っても見つからない広大な土地と世界第2位の人口を有するインドに、世界第6位の人口のパキスタンまで追加しなければならない。さらにインドとパキスタンの関係、宗教の違い、様々な問題を考えさせられた上に、主人公バジュランギのようなバカ正直な男が多ければ世の中も変わるのにな~としみじみ感じる映画でした。

 『ライオン』の少年はサルーでしたが、今作で何度も登場するサルはハヌマーン神(ハマカーンではありません)。バジュランギを演ずる人気俳優もサルマーンだ。見終わった時にはつい「ラーマ万歳」と叫びたくなるほどだった。グーグルアースは使ってないけど、記者がYouTubeに投稿している点も見逃せない。一方、声が出せないパキスタン少女が可愛すぎるのですが、言葉はわかるので、「出身地を言うから当たってたら手を挙げて」というセリフにも反応する。これがまたいい。

 宗教の問題は元々同じ国だったのにヒンドゥー教とイスラム教の違いで国を二分割された歴史的経緯があるので、寺院とムスクも厳格なしきたりがあるのだろうけど、この映画では宗教の隔たりでさえ、特にイスラム教では門戸を開放するような描かれ方でした。たしかに、ヒンドゥー教は古代バラモン教を基本としているため、階級制度が未だに残ってるためか、少女ムンニーもバラモンとかクシャトリヤではないかと思われたシーンがありました。簡単に言えば「この子、貴族の子じゃない?」といった感じでしょうか。

 さて、バジュランギも親方の娘ラスィカーとの結婚を考えるようになり、ムンニーを故郷の親元へ帰さなくてはならなくなりました。わかってるのはパキスタン人だということだけ。大使館へ出向いたら、たまたま暴動が起こり、ビザも発券されなくなり、密入国者の手を借りなければならない。怪しい業者に頼んだら、それがまた「ホテル・タージマハール」とかいう娼館に売られそうになったりと困難極まる状況に陥る。そして手引きする業者を使って国境越え・・・

 後半は警察や軍隊に追われ、記者も同行する羽目になり、壮大なロード・ムービーと変化するのですが、正直の上に“バカ”がつくほどのバジュランギの心に打たれてギスギスした人の心が穏やかになっていく様子がとても爽やかでした。悪い人間も登場するにはするが、徐々に良い人に変化する。パキスタンではスパイ扱いされるのですが、彼の前では“敵”なんてものが存在しない。純粋な宗教観で子を親の元に帰すという行動にみな心が動かされるのだ。観客も同じように、笑わされ、泣かされ、バジュランギの善き思い、善き言葉、善き行いに感動すること間違いなし!

 インド映画といえば、踊り歌う、ミュージカルもこの作品でもやっぱりあるのですが、最初はインド音楽っぽく、途中からイスラム音楽へと徐々に変わっていく様子も必聴。インドとパキスタンの音楽の融合も果たしているのですね♪


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