プラテンといっても食べ物ではない。
ドイツといえば印刷技術先進国だ。現在の日本国内の印刷所をみてもハイデルベルグ社の印刷機がかなりのシェアのあることがわかるほど。多分、第二次大戦当時でもドイツの技術は素晴らしかったに違いない。そんなナチスドイツがユダヤ人たちに贋札を作らせたベルンハルト作戦の裏側を描いた映画です。
原作は映画にも登場する印刷技師のアドルフ・ブルガーが書いたもの。ドイツは敵国イギリスを経済的混乱に陥れ打撃を与えるため、ザクセンハウゼン強制収容所でユダヤ人技師たちに贋札作りを強要する。拒めばアウシュビッツ送りか、即銃殺。ポンド作りは間もなく成功を収めるが、これによってドイツの戦況が有利に運ぶとユダヤ人虐待も長引き、従順でいることは自分の命を長らえることになるものの、罪もないユダヤ人が殺され続けることをも意味する。
終戦を黙って待つよりも、ナチスへの協力を拒否し決起するなどと主張する原作者ブルガーは主人公ではなく、戦前から贋札作りで暗躍していたサロモン・ソロヴィッチ(カール・マルコヴィクス)が主人公。正義感の強い作者と元々悪人という2人の視点を変えたことによって、ブルガー(アウグスト・ディール)のサボタージュという行動が同胞を危機に晒すなどといった部分も見えてくる。逆に、悪党であるサリーが仲間を大切にしていることもわかるのです。まぁ、感情移入はしづらかったりしますが・・・
収容所ではニセ札だけではなく、パスポートなども偽造している。そのため家族の不幸を知って自殺を図ろうとする者もいたり、薬を手に入れるためにナチ親衛隊少佐ヘルツォークと取引するという場面も登場する。ちょっとだけいい人のように思わせる少佐だったけど、ドイツの敗戦を悟って逃げだそうとする将校も実際にいたんだろうなぁ。この絶妙な駆け引きや、サリーの心の葛藤も見どころなのです。
興味深かったのはユダヤ人印刷技師たちが厚遇されていたところ。収容所の中でも彼らから数メートル先では毎日のように拷問や銃殺があり、それが見えないだけに彼ら自身の待遇の良さもわからない。同じ収容所内でも天国と地獄のような格差社会があったことだ。さすがに今日的テーマとまでは思えないけど、虐待されていた他の舎を感じていたならばブルガーに同調して暴動が起こるなどして、ベルンハルト作戦も違う形になっていたのかも・・・
尚、プロローグ、エピローグともに戦後のサリーが描かれていたのですが、カジノの強運ぶりを見る限り、収容所内では彼の判断が功を奏していたのかもしれない。また、わざとツキを無くす行為は虐殺された同胞たちへ、自分たちだけ生き残ったことの償いだったのかも・・・
★★★★・
ドイツといえば印刷技術先進国だ。現在の日本国内の印刷所をみてもハイデルベルグ社の印刷機がかなりのシェアのあることがわかるほど。多分、第二次大戦当時でもドイツの技術は素晴らしかったに違いない。そんなナチスドイツがユダヤ人たちに贋札を作らせたベルンハルト作戦の裏側を描いた映画です。
原作は映画にも登場する印刷技師のアドルフ・ブルガーが書いたもの。ドイツは敵国イギリスを経済的混乱に陥れ打撃を与えるため、ザクセンハウゼン強制収容所でユダヤ人技師たちに贋札作りを強要する。拒めばアウシュビッツ送りか、即銃殺。ポンド作りは間もなく成功を収めるが、これによってドイツの戦況が有利に運ぶとユダヤ人虐待も長引き、従順でいることは自分の命を長らえることになるものの、罪もないユダヤ人が殺され続けることをも意味する。
終戦を黙って待つよりも、ナチスへの協力を拒否し決起するなどと主張する原作者ブルガーは主人公ではなく、戦前から贋札作りで暗躍していたサロモン・ソロヴィッチ(カール・マルコヴィクス)が主人公。正義感の強い作者と元々悪人という2人の視点を変えたことによって、ブルガー(アウグスト・ディール)のサボタージュという行動が同胞を危機に晒すなどといった部分も見えてくる。逆に、悪党であるサリーが仲間を大切にしていることもわかるのです。まぁ、感情移入はしづらかったりしますが・・・
収容所ではニセ札だけではなく、パスポートなども偽造している。そのため家族の不幸を知って自殺を図ろうとする者もいたり、薬を手に入れるためにナチ親衛隊少佐ヘルツォークと取引するという場面も登場する。ちょっとだけいい人のように思わせる少佐だったけど、ドイツの敗戦を悟って逃げだそうとする将校も実際にいたんだろうなぁ。この絶妙な駆け引きや、サリーの心の葛藤も見どころなのです。
興味深かったのはユダヤ人印刷技師たちが厚遇されていたところ。収容所の中でも彼らから数メートル先では毎日のように拷問や銃殺があり、それが見えないだけに彼ら自身の待遇の良さもわからない。同じ収容所内でも天国と地獄のような格差社会があったことだ。さすがに今日的テーマとまでは思えないけど、虐待されていた他の舎を感じていたならばブルガーに同調して暴動が起こるなどして、ベルンハルト作戦も違う形になっていたのかも・・・
尚、プロローグ、エピローグともに戦後のサリーが描かれていたのですが、カジノの強運ぶりを見る限り、収容所内では彼の判断が功を奏していたのかもしれない。また、わざとツキを無くす行為は虐殺された同胞たちへ、自分たちだけ生き残ったことの償いだったのかも・・・
★★★★・
Mongol、受賞ならず残念でした。
が、本作は納得の秀作と思いました。
ナチスもの、収容所ものはいくらでもありますが、
ここに描かれていた"葛藤"が素晴らしかったなぁと。
サリぃ~♪サリぃ~♪
ナチス関連の映画はほんとに多いですけど、なかなか秀でた作品が現れませんでしたよね・・・ハリウッドで作られるものが多かっただけのことかもしれませんが、知られざる真実を描いたということもあって、新たな発見もありました。
重くなりすぎないのも良かったかな~
今日は4分間のピアニスト観ます~
観た?!
鑑賞したばかりの作品、それも感動させられた映画がこうして大きな賞を獲ると何だか嬉しくなります。
特にこの映画はこれまで観てきたナチス関連作品とはちょっと異なる切り口で、語り尽くされていたように思えてもまだまだ知らない事実がたくさんあるんだと認識させられる作品でした。
「4分間のピアニスト」は観ましたよ~
あれは感動!
結局、同じドイツということで比較してしまって、こちらの点数が低くなってしまいました・・・
>かのん様
俺はアカデミー授賞式を見終わって、思い出したように映画館へと急いでしまって・・・やっぱり「モンゴル」を応援していたのか、気にとめていませんでした(汗)
ナチス関連の映画はかなり見てきたつもりですが、描き方によっては今後も色んな可能性が残されてますよね。残虐なシーンは所々にあったけど、ほとんど見せないという手法もよかった。収容所がどんなところか知らない一般のユダヤ人と同じ感覚に・・・
こうやって、鑑賞した(メジャーではない)作品が受賞するとうれしくなりますね。
でも、これはよくできていたと思います。
ナチスを扱った映画は本当に多いと思うのですが、本当の意味でわかりやすく、凡人をも感心させてしまう映画というのは、その実、少ないようにも思います。
結局、リーダーとなったサロモンは、最初はその技術を見込まれていたとしても、そこまでみんなを統括するつもりもなかっただろうに、でも反抗分子さえかばう、器の大きなリーダーになってましたね。
やっぱり、そういう才能(?)のある人って、自然とそうなるんだなぁ、なんて違うところで感心していました。
これは、もともとブルガーの本を元にしているから、ちょっとブルガー寄りにはできているんだろうけれど、私個人的には「いくら信念があっても、仲間を犠牲にしてはいかんだろう」とちょっと批判的に見ていました。
あ、そうそう!「4分間の・・・」ももうすぐ来るんです。kossyさんがお褒めになっていたので、鑑賞することにします。
ドイツという国が自らナチス批判映画を作りだしてから、まだ日は浅いんですよね。
それもハリウッド側から描く一方的な視点じゃないし、かなり興味深いものがあったりします。
もともとサロモンには自分が生き残りたいという意識しかなかったのが、徐々に変化していきましたよね~
リーダーとなりたいがための行動じゃなく、徐々に仲間意識を増やしていったというか・・・心が変わっていく様子が面白かったです。
満点にならなかったのは、偽造した札を持っていったということがあるかもしれません・・・でも、思い出すにつれ、よく出来てたな~と印象がどんどん変わってきました。
4分間のピアニスト。
音楽によって好みはわかれると思いますが、kisen様なら大丈夫!
予備知識くらい入れていくべきだったと、見ながら後悔。
ブルガーが正しいと思いつつ、でも。。と思ってしまう自分がそこにいました。
>プロローグ、エピローグ
これにはやられました。サロモンはあの後どうしたのかな?とか想いをはせながら、明るい気持ちで帰りました(笑)
俺も予習なんて一切・・・まさか本当の贋札の名人が主人公だとは思っていませんでした・・・
ブルガーの主張に関しては、理想的ではあるけど「生きて悲惨な収容所の真実を伝える」ことができなくなるんですよね。映画鑑賞という傍観者的な見方だと、共感できなくなってもしょうがないことなのかもしれません。
実際のサロモンのその後には唖然とさせられますが、いいエピローグを作りましたよね~あそこで偽札を捨ててしまっても金に困ればまたやっちゃう・・・想像はいろいろできるので余韻が残りました。
あ~~>ドイツといえば印刷技術先進国
そうなんですか!私ってホント知らない事ばかりで・・。
そういった事も踏まえて観れたらもっと面白いのにね^^
ところで、私は最後の方に集中力が途切れてしまい
確かエンド・ロールで195○年まで彼らは
贋札作りをさせられた・・とあったような気がした
のですが、(観間違いかも^^)
終戦後・・どのようにしてサリーが冒頭のあのモナコのホテルのカジノ・シーンでの大金を持っていたのか謎です。
収容所では、禿げちゃったサリーが髪の毛もフサフサで・・・「金なんてまた造ればいいのさ」
と言ったような記憶があるのですが
もしかしたら、夢なのかなぁ??と思ってみたり。
教えて下さい<(_ _)>
ミチさんにも同じ事聞いてみます(笑)
よっぱちゃんなのでコピペで聞いてみます(爆)