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記者たち 衝撃と畏怖の真実

2019-03-31 18:37:05 | 映画2019
 『ペンタゴン・ペーパーズ』をまだ見てないことに気づいてしまいましたが、その頃はNYタイムズも頑張っていたのですね。今作では大手新聞社に記事を売るナイト・リッダー社の記者、ジョナサン・ランデーとウォーレン・ストロベルの二人がジャーナリスト魂を顕にして、大手が報道せずに政府発表をそのまま記事にしたことを批判的に描いていた。ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド、ライス、そして平和の砦とまで言われたパウエルの実際のニュース映像を見事にミックスして、どちらかと言えばエンタメ性もたっぷり見せていた。また、車いすの元兵士を扱ってることもストーリーの良いスパイスになっている。

 上映時間が91分と、社会派映画としてはとても短く、娯楽作品でしか見たことのないミラ・ジョボビッチやジェシカ・ビールを重要な役柄で配していることも馴染みやすく鑑賞しやすい作品になっていたのではないでしょうか。しかし、中味はたっぷり皮肉を込めた社会派作品。これもロブ・ライナーの手腕です。

 9.11後のアメリカはテロの首謀者ビンラディンを捕まえることに躍起になってたのだが、いつの間にかイラクが大量破壊兵器を保持して、テロ組織と繋がりがあるとして、イラク戦争に突入していったのだ。2004年にはマイケル・ムーア監督の『華氏911』といった映画でも批判対象となっていたが、今回の『記者たち』と『バイス』によって、さらに大量破壊兵器の証拠がないことを明らかに出来ているはずだ。2010年の『グリーン・ゾーン』は残念ながら映画として失敗だったが・・・。

 今作品では、ブッシュとチェイニーの嘘つき政権が行った行為のみならず、その政府見解を鵜呑みにして垂れ流し、御用新聞と成り下がってしまった大手新聞社を痛烈に批判していることだろう。ある意味、報道の意味まで問うているのだ。さらに言えば、過去のこととして笑って済ませる問題でもなく、現在の日本でも「忖度」が流行り、報道機関でさえも政権への批判精神を無くしつつあることも考えなければならない。スガ官房某が政府見解を発表すれば、そのまま新聞の記事になる・・・。報道の自由は憲法で保障されているはずなのに、取材する記者の発言は無視されたり、ディスられたりするなんてことが平気で行われている事実。国民の知る権利なんてのも蔑ろにされつつある現代への警鐘でもあるのだ。最近は新聞やTVのニュースなんかより、映画のほうがよっぽど信頼できるってのも狂ってる・・・。


★★★★

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