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ふみ子の海

2008-02-28 21:22:21 | 映画2008
 ふみ子は海を「きれい」と言ってたけど、〆香姐さん演ずる遠野凪子は海を見ていなかった。

 なにしろ遠野凪子だ。弱者を助け、悪を挫くという気高さまで備え持つ芸者なのです。憎々しい遠藤賢一に対して時には色気で、時には軽業師のような身のこなしでやっつけてしまう。そのまま隠密同心として口上を語り出しそうな勢いさえあった。

 盲女性自立の先達者となった粟津キヨさんをモデルにした市川信夫の同名小説を映画化した作品。昭和初期、新潟県頚城郡。主人公ふみ子(鈴木理子)は栄養不良がもとで4歳で失明。母親(藤谷美紀)は心中を図ろうともしたが、ふみ子の言葉で目を覚ます。やがて盲学校に通わせるという話も舞い込んできたが、貧しさゆえに断念せざるを得ない。8歳になったとき、自ら母のために豪雪地帯・高田の按摩屋へ奉公にでるのだった・・・

 厳しいながらも盲人女性を一人前にする優しさをも秘めた師匠(高橋惠子)。頭のいいふみ子に対しては「腕が大事なんだ」と教え込む。ドスの利いた声。盲人ならではの仕草など、女優魂を見せられた思いだ。

 ヘレン・ケラーをモチーフにしたような点字に関するエピソードは心が洗われる。そういえば『奇跡の人』においても、感動を与えてくれたのは本人よりもサリバン先生だったりするのですが、主人公ふみ子の頑張りよりも周りの師匠、〆香姐さん、サダ、りん先生(高松あい)といった人々の優しさが泣かせてくれる。そしてヘレン・ケラーが来日・・・ううう。

 こういう展開になってくると、どうしてもアン・バンクロフトを思い出してしまう。アン・バンクロフト、アン・バンクロフトと呪文のように名前が脳内に溢れ返るため、何度も登場した滝壺薬師住職のお経を忘れてしまいました・・・途中までは覚えてたのになぁ・・・

★★★★・

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7 コメント

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ヘレンケラー (シネマ大好き娘)
2008-02-29 06:38:49
最後の「ウォーター」ってせりふが印象的ですね~
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こんばんは♪ (ミチ)
2008-02-29 23:08:57
本日『ミルコのひかり』とハシゴしてきました。
こういう似た題材のものを企画してくれるのはシネモンドならではですよね。
あのお経、かなり印象的だったのに忘れてしまいました~(汗)
お堂にかけられていた【め】っていう字の絵馬がこちらを見つめているみたいでちょっと怖かったです。
栄養失調で失明するなんて、その貧しさが哀しくなりますね・・・。
kossyさんは「はなれごぜおりん」はさすがにご覧になっていないでしょうね。
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 (kossy)
2008-02-29 23:41:36
>シネマ大好き娘さま
そうですよね、奇跡の人。
それがこの「ふみ子の海」では「海~~」になるわけです。あ、でもその前に「雨~」だったかな。

>ミチ様
さすがはシネモンド。
上手い具合にカップリングのような公開になりましたよね(笑)
やっぱりミチ様もお経をお忘れに?!
あんころころころ・・・だっけかなぁ~などと、混乱してしまいました。

とにかく貧しさが痛々しかったです。「おしん」の世界なのかな~などとも予想してたんですけど、ふみ子本人よりも周りの人の優しさに感動しましたです。
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お久しぶりです (tm)
2008-03-01 20:46:40
私はこの映画を昨年の秋に見ました。

秋の映画の中では評価が高い映画だと思っていたので、Kossyさんの評価はどうかなぁと思いましたら、やはり評価が高っかったので、ほっとしています。
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映画 (kossy)
2008-03-02 09:40:16
>tm様
あまり話題になりませんでしたけど、有名俳優を使ってるし、力の入れ具合もわかりました。
多くの方に見てもらいたいですね。
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愛と勇気と希望 (祐。)
2008-03-02 15:22:32
薬師如来のご信言は「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」

なかなかしっかりした造りでした。もっと沢山の人に見て欲しい映画です。

師匠の言葉がとても地に着いた考え方で印象的でした。
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おんころころ (kossy)
2008-03-18 07:56:27
>祐。さま
よく覚えてましたね~~
まぁ、覚えようとしなければ覚えられないんだろうけど・・・
視覚障害者の生きる術が按摩かごぜしかなかった時代に、日本における先駆者的なことな存在でしたもんね。
ふみ子本人よりも周りの人たちに泣かされました~
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