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フィクサー

2008-04-17 02:05:44 | 映画2008
 ワキの下に大量の汗をかいていたティルダ・スウィントン。魔女に変身するのか、背中から羽根が生えてくるのか、などと彼女の動向に注目してみたが、やはり魔女的な性格だった。法務の責任者としてマスコミのカメラでスピーチする姿と、その練習風景を交互に映し出したり、運よく素質を認められた経歴をも考えると、なかなか興味深いキャラクターであったりもする。

 そして、巨大法律事務所のトップ弁護士であるアーサー(トム・ウィルキンソン)も魅力的なキャラだった。“人生の12%を費やした”と嘆く姿と、マイケル・クレイトン(ジョージ・クルーニー)が過去の実績により一目置いている弁護士ということを照らし合わせてみても、農薬会社の不正告発と会社への貢献という挟間で精神を患ってしまうことも想像に難くないのです。

 その魅力的な2人に加え、兄貴キャラのジョージ・クルーニーが活躍する。しかし、“フィクサー=もみ消し屋”などと説明されても、彼はそのフィクサーぶりを発揮しない。訴訟専門の弁護士ではなく裏稼業としての掃除屋。ひき逃げ事故を任されても、「ミラクル・ワーカーじゃないんだ。janitor(辞書には守衛、管理人。字幕では掃除屋)だ」などと自虐的になったりするほど落ちぶれていて、従兄弟との共同経営のレストランの借金に悩んでいる男なのだ。

 予想していた骨太の社会派映画とも一味違っていて、『エリン・ブロコビッチ』のように一般市民からの視点でもない。どちらかというと哀愁漂わせるアニキ映画になるのだと思う(多分違う)。アーサーの死に疑問を持ったりしても、自分は借金を返すためにボスに無心するために悩んでしまう小市民的なところ。金を返した後にポーカーに興じるなんてのも人間らしいと思う。それに従兄弟のティミーに対しても怒りを露わにしないナイスガイなのところとか・・・警官の弟に対してもしっかり借りを返すところにも温かさを感じるのです。

 『シリアナ』を思い出してしまうようなベンツの爆破も迫力があった。『オーシャンズ12』でもあったような気がするけど、なぜかアニキには車爆破の映画が多い。そして、ラストの魔女と対決するシーン。ありがちな法廷劇をとらず、2人の駆け引きをメインにするなんてシビレまくり!2人の鼓動も上昇していたんだろうけど、観ている方だって脈拍数が急上昇。エンディングのアニキ映像ではで息を整えるのに丁度良かった。大金をもらって豪遊すればよかったかな・・・いや、やっぱりこれでいいんだ・・・と苦笑するアニキが人間くさくていいぞ!

★★★★★

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15 コメント

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シリアナ~ (シネマ大好き娘)
2008-04-17 05:59:10
寝てしまいましたあ~~

ジョージ・クルーニーセクシーだから、好きです~

フィクサーこっちにくるかな?!
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Unknown (mig)
2008-04-17 21:26:43
kossyさん☆

評価高いですネ!
わたしはどうもジョージアニキとソダーバーグが組んだ作品はニガテのようです
つまらなくはなかったんだけど、面白い!ってシーンも感じられなくって
肝心なフィクサーな部分が見えなかったのもザンネンでしたわ~
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ラストシーン最高 (hanako)
2008-04-17 21:41:07
始めのシーンから、ちょっと時間を遡り、そこから少しずつ事情があらわになっていく…時々こういう手法の作品がありますが、テーマも訴訟問題と難しく、間に家族団らんシーンが入り、「この映画理解できるのか?私…」と前半不安になりました。
でも、ちゃーんと最後には理解できる流れになってましたね(ほっ…)それだけ、ストーリーがしっかりしていたのでしょう。
そう、最後のアニキがタクシーに乗って、終った~と安心しながらも、様々な感情が押し寄せているだろうあのシーン(*^^)v良かったですねえ
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社会派 (kossy)
2008-04-19 09:35:33
>シネマ大好き娘さま
さすがに『シリアナ』は寝ちゃいますよね(笑)
車を爆破したところでは目が覚めたりしますけど。
上映館がないのですか?
ううむ、それは残念・・・

>mig様
俺もソダーバーグの作品は苦手です。
まぁ監督は違いますもんね。
面白さといった点では、アニキが借金を抱えているのにやっかいな仕事にぶち当たったという精神状態ですかね~
やっぱり借金したことのある方が感情移入しやすいかもです(笑)
フィクサーな部分を描かなかったのが弱いですけど、それもありかな~ってことで・・・

>hanako様
俺も序盤のシーンで心配になりました。ひき逃げ事故を起こしたおっさんに対するとき、これがフィクサーなのか?と・・・
彼の仕事の謎めいた部分をずっと引きずってしまいましたけど、二度目に同じシーンを持ってくるだけで感じ方が全く変わってしまいました。その違いを味わえるだけでも見た甲斐があったかな~
タクシーに乗ってるときの表情!色々想像できて面白いですよね。ニヤっとしたところで安心できました!
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おもしろかったですね (kisen)
2008-04-20 21:59:47
kossyさん、こんばんは。

なかなかに社会派な映画。見ごたえがありました。
すごくよくできてると思うんですけど、でも、なんとなくよくある話だと感じてしまいました。

たとえば、ジョン・トラボルタの「シビル・アクション」とか。これなんか、シドニー・ルメットがもろおんなじような役で出ていたじゃないですか!(笑)


視点を変えれば「インサイダー」なんかも似ているかも。

ジョージ・クルーニーがいい味を出していただけに、もう少し他と違った感じだとよかったかな・・・。


あ、でもトム・ウィルキンソンが殺されちゃったときは、「あ・・・あれだけの権力にあがらうのだから、そういうこと、もっと予想しなきゃ」って思いました。

ジョージが馬を見ていて命拾いしたときは、設定に少し無理があるかとも思いましたが、でも命運のある人って案外そういうものなのかもしれませんね。


私も、こんなアニキが欲しいです・・・。
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すみません・・・ (kisen)
2008-04-20 22:01:55
↑ シドニー・ルメット→シドニー・ポラックの間違いです。大変申し訳ありません。
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シビル・アクション (kossy)
2008-04-21 08:43:09
>kisen様
う~む、たしかに「シビル・アクション」
そして「エリン・ブロコビッチ」
社会派という点でとらえれば、kisen様の仰る通り「シビル・アクション」が近いのでしょう。
ただ、この映画マイケル・クレイトンは裁判とか和解のための話し合いとか、ほとんど出てこないところが面白いのかもしれません。主人公が表舞台に立ちたいのに、陰の仕事ばかりやらされていて、うっぷんがたまっているような・・・とらえ方によってはダメダメ男なんですよね。

敢えてアニキ映画としたのは、皆さんと違って社会派映画としてとらえたくなかったんです。まぁ、他の映画に比べると社会派要素満載なんですが・・・
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Unknown (kiu)
2008-05-22 22:48:46
私は映画館で寝ることなどありえなかったはずですが少しうとうとしてしまいました。まあ確かに疲れてはいましたが...。

ほかの方がすでに書いていいましたが私もジョージアニキとソダーバーグが組んだ作品は苦手なようです。
やっぱりそうなんだ!とちょっと安心しました。

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アニキぃ~ (kossy)
2008-05-25 21:29:54
>kiu様
あれま、寝ちゃったですかぁ。
まぁ、俺も『オーシャンズ12』あたりはヤバかったかもです。
最後にはスカッとする展開だったので、一気に眠気はふっとぶはず!って、遅いか・・・
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こんにちは。 (とらねこ)
2008-06-11 15:53:08
ちょっとだけお久しぶりです。
この映画、kossyさんはきっと気に入られたんじゃないかな?と鼻を利かせてやって来たのですが・・・
やっぱり!ホシ5つですね!
これ、カッコ良かったですよね~。
アハハ、アニキは車爆破が多いのか。
そういえば、大事なところで車爆破って多いかもしれませんね。

この映画を「アニキ映画」と称するkossyさんがさすがだなあと。
自分も、「これって『インサイダー』みたいでありながら、実は『破壊!』(エリオット・グールド)みたいだなあ」、と思いながら見ていたんですよ~。
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