ネタバレ映画館

映画ドットコムに記事を移行してます!

卑劣な街

2007-10-03 20:00:57 | 映画2007
 カラオケシーンに必ず登場する韓国版林家ペー・・・

 家族は家賃を払えずに立ち退きを迫られているし、弟分に小遣いを与えることもままならないビョンドゥ(チョ・インソン)が主人公。ようやくゲームセンターの管理をまかされるものの、オープン初日に縄張り争いのため対抗暴力団とケンカになり夢を奪われてしまう。そんな折、幼なじみの映画監督ミノ(ナムグン・ミン)にヤクザの取材を申し込まれるのです。「義理に生き、義理に死ぬ、本物のヤクザを撮ってくれ」と、困窮してはいるがヤクザのプライドだけはあるビョンドゥだった。

 黒幕であるファン会長は検事からゆすられている様子。誰か検事を消してくれないかと漏らすが、ヤクザであっても検事を殺すのはヤバイと、誰も乗り気ではない。ビョンドゥは金のため、兄貴分を出し抜く形でこっそりと検事を殺してしまうのだ。やがて兄貴分の男もその事実に気づき、ビョンドゥを殺そうと計画するが、先手を打って逆に殺してしまう・・・しかも妹の結婚式という日に・・・。忠誠を誓ったのはファン会長に対してだけ。ビョンドゥは上下関係の義理なぞは蔑ろにして、金のために手を汚すのだった。

 内部抗争も他の暴力団との抗争も日本のヤクザ映画とそっくりなのですが、ここにヤクザ映画を撮りたい映画監督が絡み、サスペンスのようなプロットも侵入し、一方で、初恋の女性に愛の告白をするという純愛路線も入ってくる。基本的には下級ヤクザの虚しさや、下克上のような権力の虚しさ、義理とは口先だけのものであるとヤクザを否定するような内容。恩を仇で返すほどではないにしろ、一瞬の台詞や態度で信頼を失うと、矛先は自分に向かってくる描き方も面白い。かろうじて家族(一緒に食事をする舎弟など)の大切さや旧友との友情が残ってるかと思わせておいて、そこにも裏切りがあったり・・・

 ロータリー組、三叉路組、毒ヘビ組などと、ヤクザの組の名前に笑ってしまいそうにもなりましたが、どことなく完璧じゃないヤクザばかりだったのも人間味を感じさせる。階級社会はヤクザ世界に限ったことではないし、同じような人間関係はどこにでもあると考えると、ちょっと怖いような・・・

★★★・・

韓流シネマ・フェスティバル2007 ルネサンス

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 恋愛の目的 | トップ | シッコ »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
殺人事件 (かのん)
2007-10-14 21:49:29
私はインソン君贔屓なとこもあって観てるときはけっこう楽しめた映画なんですが、感想文書きながら振り返るといろいろ疑問点が浮かんできます。少なくともトイレでの犯行は絶対足がついて捜査の手がおよんできそうな気がしたんですけど警察は何をしてたんでしょうか?(笑)

あの映画監督は主人公たちを客観視する存在かと思っていたら、見事にキーパーソンに変身してビックリでした。ワタシ的には彼の修羅場に手に汗握っちゃいました。
返信する
インソン (kossy)
2007-10-15 01:09:32
>かのん様
たしかにイケメン。お気持ちわかります。
幼なじみの映画監督に対しても義理を通すというか、心から信じていたようなのに・・・かなりガツンとやられる展開でした。
警察は無力というか、スケープゴートをそのまま逮捕して後は知らん振り・・・日本と同じ雰囲気でしたね。
まぁ、結婚式のトイレの捜査は・・・謎です。

プロットは面白いけど、細かなところに不満が出てきちゃいました。
返信する
Unknown (Aki)
2008-05-11 21:22:32
欲、下剋上、裏切り、ヤクザ社会だけではなく、幼馴染みの映画監督の登場は面白い展開でした。

『バリでの出来事』ではおぼっちゃま役で、今度はヤクザ。

イメージチェンジ・挑戦だといわれているようですが、どちらの作品も、チョ・インソンさんの役は、一番になりきれない・ユルサ・ヌケのある役。

次回は、頭が超キレル役とか、極める役が観たいなと思いました。
返信する
ヤクザ (kossy)
2008-05-13 23:00:26
>Aki様
まぁ、ヤクザ映画なんですけど、すべての人にも共通する部分がありましたよね。
まぁ、俳優に関してはこの程度じゃダメですね~日本でもアイドルが暴力映画に出演してたりしますが・・・

返信する
TB有難うございました。 (Hiro)
2008-08-30 13:04:14
信用出来るのは自分だけ。護身の為には危険因子は排除する。
これを貫徹するには全てを自分一人で処理するしか方法はない。
そこには自ずと限界があり、更なる権力の拡大を目指すには、
役割分担が必要となる。役割分担・権力の委譲は信頼関係がなければ、
成り立たない。権力の分割は対立を生み、繁栄と裏切は権力の拡大を
求める限り、繰り返される。
返信する
仲間が必要 (kossy)
2008-09-02 01:07:47
>Hiro様
自分一人で処理するなんてのは、世の中で例えるとワンマン社長の経営する会社といったところでしょうか。
ヤクザの縦社会というのも現代社会の縮図なのかもしれませんね。

そうした構図を描くってところは日韓共通する要素なのかな~などと思ったり・・・
返信する

コメントを投稿

映画2007」カテゴリの最新記事