故郷の
里山恋し
鳧の子の
鳴き声遠く
旅立ちの日
季鳥
近江(あふみ)の海
夕波千鳥
汝(な)が鳴けば
心もしのに
思古(いにしえ)ほゆ
柿本人麻呂 巻第三·二六六 万葉の鳥 山下景子著より 誠文堂新光社
打ち寄する波と戯れ浜千鳥
御前崎波と遊びて群れ千鳥
穏やかに過ぎし一日夕千鳥
季鳥
思へども
思ひもつかぬ
あしひきの
山鳥の尾の
長きこの夜を
作者未詳「万葉集」第十一・二八〇二
季語 春「山鳥」
山鳥よ枝垂れ尾抱え一人寝の 季鳥
長き尾を
一人抱えて
寝る夜を
恋するひとの
ため息ひとつ
季鳥
池水の荒立つ鴛鴦の妻娶る季鳥
鴛鴦のをしの字描くしなやかさ 季鳥
(藤原信実 夫木和歌抄
巻第十七 六九六一)
池水に
をしの剣羽
そばだてて
妻あらそひの
けしきはげしも
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