香竹日記

書道の奥深さを楽しんでいます

チベット印章とのご縁

2022-10-26 21:54:42 | 篆刻
今年8月協会会議での折、この私に夢の様なことが起きました。

笑顔の中川先生が私の方に向かって歩いて来て、さり気なく首に掛けてくださいましたが・・・

えぇっーもしかして!これは先生が香港の骨董屋で買い占めたというあれではないですかー!




チベット印章           その印影
 


遡ること5月のことですが、協会の前会長高際先生の遺作展が栃木県総合文化センターで開催されました。

初めて栃木を訪問させていただき
そこで生前の柔和な面影を追いながら遺作に触れ、来てみなければ分からないその臨場感に満たされ、関係者の皆さんにはすっかりお世話になりましたが・・・


その時中川先生にお会いし、偶々先生のお知り合いの篆刻家小田玉瑛先生の個展(鳩居堂にてちょうどその時期に開催されたばかり)の話題になりました。
そして、NHK美の壺で小田先生の特集を放映された事を伺い、興味深く感じていましたら、その後いみじくも我が教室の生徒と私は再放送を見ることが叶いました。


『メソポタミアから日本への印章の道について』小田玉瑛先生の文献によりますと紀元前3300年頃メソポタミアのシュメール文明では既に印章は普及していた・・・と。

シュメール文明の後 古代バビロニア王国が誕生し、ハンムラビ法典で有名なハンムラビ王の時代が最盛期となる訳ですね。

そして日本では紀元一世紀の57年『漢委奴国王』金印が中国から伝来したのが始まりとされているのです。。。後略



そしてそして、その栃木県の会場で中川先生がおもむろに作務衣のポケットからゴロゴロっと取り出された凄いお宝がこれです 



無造作に置かれたチベット印章




キャー(≧∇≦)
この時の私は『 こんなのひとつ欲しいな』と思っていましたので、きっとその心の声を先生が聞き届けてくださったのですね。
真にありがとうございました。 感謝いたします♡



ふって沸いた様な幸運な印を調べてみましたら 
纏型鈕幾何学文印 チベット印章 鉄 15・16世紀
に似ています 大切にさせて頂きます。


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天真流露 不思議な体験

2022-03-06 10:22:50 | 篆刻
令和4年1月号のインターネット競書「論古」

新年号ですのでしみじみ読んでいましたら
おおぉー 最後のページを見てびっくり!
安藤豐邨先生の篆刻作品が5点載っていまして、その中の1顆に心身が固まってしまいました(ちょっとオーバーかな)

「天真流露」なすがまま 
絶対に忘れられない私の内に秘めた不思議体験と一致したこの言葉が「論古」にそのままあるではないですか!


私達を育ててくれたK師匠が嘗て市立病院に入院されていた頃、たぶん時間に余裕があったんでしょうね、何首かの漢詩を作り、退院後『 病室詠草 』と題して発表されていた事がありました。

そうしましたら、もう何年も前のこの記事を安藤先生も読んでおられたんですね。


そこのところの記事を詳しく説明させて頂きますと

K師匠・・・・・・
夢である。 仙人部落をさまよって見た蝶の羽化、
その蝶が翔び立つ時に高い金属音で「テンシンリューロ」と鳴いた。あわてて鉛筆で書いたらこの4字だった「 天心流露 」・・・・・・



私の体験・・・・・・
ここからは私の個人的な不思議体験ですが
やはりK師匠と同じ時間軸の頃、たぶん夢の中、
大きな窓の有る部屋、明るい陽の光で温かい感じに包まれる、
そこに私がひとりでいましたら、
何処からともなく和紙に書かれた縦長の紙が、
✨キラキラキラリーン✨ ひらりひらりと目の前に降りて来ました
(短冊の大きめの様なもの)
手に取って見てみましたら筆書きで『 天真流露 』と読めました。

その夢を見ている最中でも、これは私への何らかのメッセージに違いない忘れないようにしなくては、と考えたりしていました。


ですから目が覚めてすぐにメモメモ、忘れないうちに早く書き留めなくてはと急ぎ、
そのころの私は、入院中のK師匠からのメッセージなのかもと勝手に思ったりしたものです。。。



そして今、安藤先生が偶然にもこの言葉を篆刻になされて発表されているではありませんか °˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

既にもう何年前のことになるのかしら、
でも今のことか、とも感じるくらい時空を超えた体験の一つでもあります(私はこんな体験はいくつも有り)
まあ、何方でもこんな経験はあることだとは思っていますが。。


※ あえて微妙な違いを解説しますと
K師匠:「テンシンリューロ」との金属音を聞き、「天心流露」とご自分で書き留めました。

私:「天真流露」との筆書きの短冊風のものを受け取る。

 それにしても、仙人部落で蝶の羽化する姿に出会うとは、なんとも縁起のいいお話です✨
 


さてさて勿論、私はすぐに安藤豐邨先生に連絡をとり
我儘を申してその篆刻作品を1顆、自分の手元にわけて頂きました。


今更ですが、書を志したころの初心を忘れないため、自分への戒めとして身近に置き、感謝しながら大切にさせて頂くことといたします🙇
 



安藤豐邨先生 「天真流露」
 
側款:壬寅正月鑿 豐邨老人作 于 素楳楼上南窗下



天真
ありのままの意。
「この座禅人、確爾(かくに)として心身脱落(とつらく)し、従来雑穢(ぞうえ)の知見思量を截断(せちとむ)して、天真の仏法に証会(しょうえ)し、・・・・・・よく仏向上の法を激揚す」

この座禅する人は、心身の本来の姿に立ち戻り、これまで持っていた汚れた分別を捨て去り、本来の、ありのままの仏法を明らかにして、・・・・・・
向上の仏法を宣揚することができる。

[ 「正法眼蔵」弁道話」]



※ 流露
① 草の上のつゆ
② すっかり奥の所まであらわすこと。真相を示すこと。又、あらわに見えること。






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雅印 「琅玕室主人」

2020-10-19 20:40:06 | 篆刻
2020(令和2年)10月20

自粛生活している間~現在までも、気が付けば家の中をあちこち整理整頓しています。

何年か前の写真がバラバラと出てきたりして、『この頃は若かった~(それはそうでしょ)』
『あっそうそう イスラエルにも行ってたんだ、思い出した~イエス・キリストがゴルゴダの丘まで十字架を背負って歩いた道(ヴィア・ドロローサ)だね・・・いい旅してきたね~』


『あらっこんなところに 印材一組、 いつ買ったのかしら? 中国旅行中なことだけは分かるけど・・・』

という訳で、
この時出てきた印材を直ぐに安藤豐邨先生に送ってお願いしました。
今回は自分で求めた記念の  なかなかお気に入りの印材なので、
琅玕 という言葉を使って欲しいと希望しました。

数日後、早速出来上がって私の手元に届きましたキャー素敵ですうw

私の想像を超えての落款印の出来上がり、謝々


        
        




       香竹・琅玕室主人 
   



ー記念に琅玕について記しておきたいと思いますー

① 琅玕とは美しい緑色の玉、最高級の翡翠のことをいう
  幸運を引き寄せる意味と効果があります、
    色の美しさはエメラルドに匹敵し、最高級の琅玕はエメラルドより
  高価です、、、
※その美しさはネット上で確認してください。

② 色が①に似ていることから、青々とした美しい竹のことをいう


※ 香竹の雅号に因んで、竹の形容から私の庵号を勝手に 『琅玕庵 』とさせて頂いております関係で、今回この言葉を使っての印をお願いいたしました。


又、漢詩の中にも竹の形容に 琅玕 という言葉が稀に使われております。

その一例で、以下は中唐の詩人白居易の詩のご紹介です

「香鑪峯下新置草堂即時詠懷題於石上」  白居易
 香鑪峯下新たに草堂を置き 即時詠懷 石上に題す
        
香鑪峯北西  香鑪峯の 北西、 
遺愛寺西偏  遺愛寺の 西偏。
白石何鑿鑿  白石 何ぞ鑿鑿たる、
清流亦潺潺  清流 亦た潺潺たり。 
有松數十株  松の 數十株有り、
有竹千餘竿  竹の 千餘竿有り。
松張翠傘蓋  松は 翠の傘蓋を張り、 
竹倚青琅玕  竹は 青き琅玕倚す。
其下無人居  其の下に 人の居まふ無きこと、
惜哉多歳年  惜しき哉 歳年多し。
   ー以下省略ー


※ 白居易(白楽天)は中唐の詩人(772~846年)
 20代の終わりに科挙の中でも最も難しい「進士」の試験に合格し、キャリア組官僚として順調に出世していきます。
が、途中 江州(今の江西省九江市)に左遷されます、しかしその間も上記の詩の様に香鑪峯下に別荘を作って、それなりに楽しんでいてのんびりした様子を詠ったりして過ごしておりました。

白居易は「兼済」と「独善」という言葉を使って「仕事」と「充実したプライベートタイム」は等価であると言っています。
プライベートタイムといっても遊び歩く訳ではなく、「雪月花」を愛で、詩と酒と琴を友として暮らすような時間を過ごすのです
こういうことをこの時代に言っているということは大変すばらしく、心に響いてきます。

そうこうしているうちに、又、中央官僚として呼び戻され
51歳の時には杭州の役人になり、西湖に堤防をつくるなどして杭州の発展に尽くし、更に晩年は大臣にまで上り詰め、その時代では長命な75歳で人生を終えています。まさに人生の成功者ですね。



という訳で今回は 琅玕 に因んだ話と共に雅印完成の記念にしたためました。。

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