次の世代のために 今できることを

備えあれば・・・

福島県を後にし、兵庫県西宮市へ。

今回、総務委員会の行政視察先として、平成7年1月に起こった阪神淡路大震災で甚大な被害を受けた兵庫県西宮市と益田市も昨年加盟した市町村広域防災ネットワークの発起自治体である泉大津市を選びました。



今回の東日本大震災でも罹災証明の発行が遅れたという報道をお聞きした方も多いと思います。

16年前、約6万世帯の家屋が倒壊した西宮市では、罹災証明書の発行に、当初は手書きによる発行で最大7時間かかっていたそうです。

今回お話をお聞きした吉田さんは当時西宮市の情報システムを担当しており、パソコンでの処理でなければ被災者の支援が遅くなるばかりだと訴え、奇跡的に残った庁舎の端末を使って、地震から10日ほどで被災者支援システムをつくり、約1カ月後に稼働させました。

吉田さんのお話からは行政マンとしての使命感の強さがひしひしと伝わって来ました。



このシステム導入で罹災証明書の発行は1時間待ちで済むようになったといわれています。

なぜ10日間で職員がシステムを開発することができたのか。

それは、もともと西宮市の方針として業者任せではない自前のシステム管理を徹底してきたことで職員1人ひとりの力があり、現場に近い、現場目線のシステムづくりを行ってきた経験がこのシステムをたった10日間で作ることにつながったと言えます。

益田市も含め、情報システムについてはほとんどの自治体が業者の作ったシステムに依存しているのが実態ですが、西宮市のようにやり抜くためには強力なリーダーがいなければできないことだろうと思います。


この震災後、少なくとも東北3県で7自治体が導入して、義援金のスムーズな支給などに役立てているそうです。

被災者支援システムの詳細はこちら → 西宮市情報センター

情報政策部の入口には情報セキュリティに関する国際標準規格ISO/IEC 27001:2005認証の登録証が置かれていました。


西宮市は、平成19年3月に、住民記録システムならびに住民基本台帳ネットワークシステム業務について、情報セキュリティに関する国際標準規格ISO/IEC 27001:2005と、この規格を日本語化した日本工業規格JIS Q 27001:2006への移行審査を完了し、両方の認証を取得しています。
情報システムについてのレベルの高さが垣間見れます。


次に大阪府の泉大津市へ。

益田市も昨年加盟した東海から九州の14府県14市1町の自治体間で、災害時の応急対策や復旧措置などで広域連携を図る市町村広域災害ネットワーク協定では、15自治体のいずれかで地震など大規模災害が発生した場合、被害のない自治体からの救援物資の供給や応援支援に必要な職員の派遣、応援内容のとりまとめなどの支援を相互に受けることができるようになっています。

泉大津市では、主に津波ハザードマップや避難誘導標識、自主防災組織についてお話をお聞きしました。

泉大津市では、毎年津波避難訓練を行っており、ちょうど私たちがお邪魔した前日に今年の訓練が行われたようで、今回の震災を受け、例年200人程度の参加者であったものが今年は300人の参加、メディアの取り上げ方も例年とは全く違ったようで、東日本大震災により意識が高まっていることを感じたそうです。

今整備してある津波ハザードマップはこのマップは、大阪府が平成15年度に実施した、水門や樋門が閉まらなかった場合を想定した津波浸水予想計算結果に基づいて作成したもので、予想浸水範囲、避難所などをまとめたものですが、今回の震災により兵庫県も基準の見直しを考えており、市としても現在のハザードマップの見直しを迫られるのは間違いないと言われていました。

学校の避難所機能なども決して十分でないという指摘も受けており、今後対策をしていくことになるようでした。

避難所への誘導標識については電柱に設置した簡単な標識が40箇所、蓄光式のものが11箇所、下記のような太陽電池式が18箇所、避難経路途中に設置されていて、普段から目に見える形で避難所の位置をしることができるこの誘導標識は今後益田市にも少しずつ設置していく必要があると思います。




益田市でも結成が進んでいる自主防災組織については、泉大津市では、83自治会中56自治会で結成されており、その意識の高さがうかがえます。

設置の際に構成する世帯数に応じて市として支援金を補助しており、自主防災組織による避難訓練などの際には1万円を限度額として補助をしているそうです。

ただ、リーダーのいる自治会ではうまく機能しているようですが、結成はしたものの十分に機能していない組織もあるということで、今後各組織を維持発展させていくためにはどの組織も課題を抱えているとおっしゃられていました。


阪神淡路大震災を経験した方々は、災害に対して備えをしておくこと重要性は災害の少ない地域に住む方々と比べて高く、市として災害対策にもしっかりと力をいれてきていることが感じられました。

益田市は地震が少ないと言われていますが、対応が十分ではない土砂災害対策も含め、今回の東日本大震災を受け、改めて防災対策全般について見直していく必要があります。

広域で高齢化の進む益田市では「自助」「共助」「公助」のバランスは地域によって異なります。

各課の連携による行政のきめ細かい支援が求められます。
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