支度を整えてまず向かったのは秋芳洞。
岩に出来た大きな割れ目の迫力にこいちゃんも目を見はる。
洞窟の中に入っていくと、外とは一転して涼しく、薄暗い。
ライトはあるものの、足元を音を立てて流れる水は黒々としてこいちゃんは「怖い~!」と伴侶にしがみついた。
しばらく歩くとこいちゃんが一番見たがっていた「百枚皿」が堂々と広がっている。
伴侶が丁寧にそれに答えると、こいちゃんは真剣に話を聞いていた。
自然の力でこのような形が出来上がるのだから不思議としか言いようがない。
その都度それらの不思議な造形物に足を止め、どのようにして出来上がるのかそれぞれの考えをめぐらせる。
こいちゃんが特に気に入ったのは、壁にあいた穴の奥深くに小さな仏様のような鍾乳石が見える。(写真右側)
これが何ともかわいらしく、ありがたそうだったらしく、こいちゃんはずいぶん喜んでいた。
別料金を払って入ると懐中電灯を貸してくれ、それをもって急な岩壁を登っていく。
結構険しいコースらしく下から眺めている私は不安になったが、ズボンを泥で汚しながらも出てきたこいちゃんは笑顔で生き生きとし、登りきった達成感で興奮しているようであった。
次に向かったのはカルスト大地。
ここで一番喜んだのは伴侶であった。
「教科書で習ったのと一緒や~、スゴイ~!一回来たかってん~!」と子供のように喜んだ。
お昼ごはんは山頂のお土産屋さんにある食堂で。
暑い日だったので、こいちゃんは冷やしうどんを注文し、一気に食べた。
やはりすごい人出で、マイカーで入場したが、「回るのには2時間かかります」との事。
幸い、ガイドをしてくれるスピーカーを借りたため、退屈することはなかったが、何もなかったらもてあましていたかもしれない…。
が、渋滞のおかげでゆっくり撮影をしながら進んでいくことが出来た。
車内は涼しいし、歩かなくても済み、おやつを食べながらのんびりと動物達が自然の姿をしているのを眺めることが出来る。
動物達からすれば、この車の列のほうがよっぽど珍しいかもしれない。
近距離に思わず3人で「ワーーー!!!!」。
当たり前のように車と車の間を横断すると、川に入り水浴びを始めたのであった。
ライオン達も、トラも暑い中、木陰で涼んだりしている様子を見ると獰猛なイメージは全く見えない。
本当に穏やかな昼下がりを楽しむ動物達。
特にこいちゃんがハマったのが、カンガルーのエリアである。
勿論カンガルーは可愛かった。
おとなしいし、毛は柔らかくてこいちゃんは夢中で餌をあげて回った。
GWのためお客さんも多く、カンガルー達は飽食状態で、お客さんが買って与えた餌が食べられずにあたりに散乱していたのだ。
こいちゃんも餌を買ったのに、カンガルーに餌をやりつつ必死で餌を拾うのだ。
拾った餌は他の同じ餌を食べる動物にあげたり、まだ食べてくれるカンガルーに食べさせたり、とせかせかと実に楽しそう。
「なくなってきたから、カンガルーのとこいく」と言うのだが、手にはたっぷり餌を握ったままなのだが。
「食べてくれないし(リスザルの餌はミルワーム)、面白くないから餌拾いにいく!」とカンガルー檻に戻ろうとするこいちゃんをとりあえずホワイトタイガーの檻まで誘導。
鼻息が荒く、びっくりして餌をばらまいてしまい、またカンガルー檻に調達に向かう。
こいちゃんは絶対、あげるより拾うほうを楽しんでいるように見えたのは私だけだろうか…。
散々餌を拾って、まだまだ名残惜しそうな様子のこいちゃんではあったが、時は夕暮れ。
さすがにサファリランドを後にすることに。
晩御飯に、ふぐのから揚げなども頼んでみた。
こいちゃんも喜んで食べ、「こっちではふぐじゃなくて、『ふく』って言うんだよね」と伴侶の受け売りを話してくれた。
沢山遊んで栄養補給に大忙しである。
この日の温泉は『おふく温泉』。
こじんまりしているながらも、利用しやすい料金設定で、旅行雑誌の日帰り温泉人気ランキングでも上位をキープしているらしい。
くたくたの足を休めて、この日の疲れを癒した。
翌日はとうとうGW最後の日。
「帰りたくない!」と寂しがるこいちゃんのことを考え、あまり翌日の予定を話さないようにしながら、実家に向けて車を走らせた。
帰りたくないこいちゃんと、少しでも渋滞にはまりたくない伴侶と私の妥協案として、何とか「広島入りするが、車で寝る」ところで落ち着いた。
「3人で川の字で寝たい」と言う、ささやかなこいちゃんのお願いを聞き入れて、この日も車の中で眠った私達。
いっくんには悪いが、幸せそうに眠るこいちゃんを見ていると、どこまでも遠くに行きたい気分になってしまった夜であった。