台風一家

心臓ドキドキなお年頃③

病院に行こうと決めた日は9日後だった。
私とこいちゃんの都合を合わせたらちょっと間隔が空いてしまったのだ。
その時はまあ「一人で心細いよりはいいか」なんて考えていたのだが、それを後悔することになった。
まあ、しんどいこと。
朝起きたら心臓が止まってるんじゃないかと怖くなるほど体が思うように動かない。
貧血もかなり悪化していたのだろう、起き上がれない。
早く病院に行きたい、と切望しながら1日1日がゆっくりと過ぎる。
しんどさのあまり体が起こせず、会社も遅刻と早退を重ねてしまい精神的にもドンドン落ち込んだ。
夜もあまり眠れない。

そして待ちに待った検査の日。
恐怖ではあったが早く楽になりたい。
大嫌いな血液検査を受け、心臓の動きを大人しくする点滴を始める。
痛さに泣く…。
先日、献血100回の記念品を貰った伴侶は言っていた。
「(献血の)間隔が開くから怖いんだ。」と。
しょっちゅう注射してれば慣れるんだとか…考えられない。
しかし、そうしないと鼓動で撮影が出来ないらしい。
長時間の検査だが心臓を活発にしない為に、検査室移動やトイレなども全て車椅子を使用。
凄く重病に見える…。
MRIが痛くも痒くもないことは知っていた。
が、心臓を綺麗に取るための拘束具が超キツイ、そして怖い!
その中での息止め、点滴から造影剤注入となる。
直前に下の裏に血管を広げるスプレーを噴射するのだが、こちらがかなり刺激的。
痛い、ピリピリする!
加えて造影剤がかなりクセモノで、説明には『体が温かくなります』と書かれていたのだが、恐怖心からなのか、とても「熱く」感じる。
点滴から流される為、上から一気に足の爪先へ熱さが流れていく。
『ぎゃー!!』心の中で叫ぶ私。
ほんの一瞬で熱が突き抜けていくと言うことは、この速さで血液は循環しているということか。
人間すごいな。
しかし、体内から熱を発するその感覚の違和感ったら。
体は微動だにしなかったのだが、恐怖心からか心臓が跳ね上がったらしく、画像がブレたため撮り直しとなった。
2度目は安定剤を点滴から流して無事に撮影終了。
結局、来院から三時間経ちようやく検査終了となった。
こいちゃん、沢山待たせてごめんね…。
こいちゃんに加えて土壇場で会社を休んでくれた伴侶が美味しいお弁当を手配してくれた。
なんだか凄く疲れてしまったので車の運転などが一人だったら出来なかったかもしれない。

さて診断結果だが、なんと心臓はとても綺麗だった。
瘤も見つからず『更年期かもねー。自転車漕いで負荷かける検査しましょうか。』などと先生が言うので前の病院で自転車漕ぎで異常があったことを伝えると、
「あ、そうなの?じゃあ運動性の狭心症かも。」
結果、私の病名は『労作性狭心症』と言う事になった。
…ってせっかく紹介状に書いてくれてたんだから読んで欲しいものである。(書いてくれていたのは確認済み)
診察が終わってようやく点滴を外してもらえた。
水を大量に飲んで一刻も早く造影剤を体外に排出するよう看護婦さんから説明を受ける。
なんたって、二倍入ってますしね…。
紹介状を読んでいなかった先生には一抹の不安を覚えていたが、薬をもらうことになる関係から始めの病院に紹介状返しの形で出戻ることになった。
始めの優しげな先生の所に即日来院し、苦しみから解放してくれる血管を広げてくれる薬をゲット。
貧血の鉄剤ももれなく処方された…。
伴侶が運転してくれなかったら翌日になっていたかも。
ただ血管を広げる薬は血圧が下がる。
私は大変血圧が低いため、先生泣かせの体質らしい。
困った困ったと言いながらも人の良さそうな先生は薬を処方してくれた。
おかげで起き上がれないほどの動機や息切れで苦しむことはなくなって来た。
胸痛が怖いので走ることは全くしないが、日常生活が普通に送れる嬉しさである。

さて、今後であるが、運動して良いのか分からない。
コレステロールを下げる食事をどこまでこだわるべきか?
など疑問が浮かぶ。
来月も通院して薬を貰わなければならないし、先は長そうだ。
コロナにかかった時のリスクを減らしたい理由からお酒を数ヶ月飲んでいなかったのだが、本格的にずっと止めることを念頭に入れたほうが良いのかもしれない。
今回の事で考えたのは、これからどう生活するか。
今後はさらに健康を視野に歳を重ねて行かなければいけないのかもしれないと気付けた事はラッキーだったのかもしれない。
そんな事を考え始めた、お年頃なのである。

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