やはり近くが良いだろう、ということで近所のハートクリニックで診てもらうことになった。
優しそうな、ちゃんと話を聞いてくれる先生にホッとする。
まずは今までの経緯を話し、次回の予約を取る事になったのだが、どーにも怖くて。
学校はコロナで休みだったので、全ての診察にこいちゃんがついてきてくれた。
持つべきものは甘やかしてくれる娘である。
ヘタレな母親だと娘は育つ…。
この日は血液検査をしたのだが、結構ひどい貧血であることがわかり鉄剤を処方された。
注射が怖い私はそれだけで気を失いそうなほどビビったが、これが原因なだけなら大したことはないかも?
2度目の来院でサイクルエルゴメーター(ダイエット用自転車みたいな…)による心肺機能検査となる。
「しんどいのに、自転車をこがされるのか…嫌だな…。しんどくなって余計大変な事態(倒れるとか)になったらどうしよう…。」
などと考えていたが、実際はとてもかっちりした検査だった。
心電図の機械を体に取り付け、左手には酸素濃度計、右腕には血圧計。
右腕の血圧は自転車を漕いでいる間、1分毎に勝手に測られる。
漕いでいる間も医師と看護婦2人が心電図を確認し定期的にしんどさを数字で表した表を使いながら私に確認しつつ、無理のない様に検査はすすめられる。
ペダルはドンドン重くなるのだが、数値60をキープして漕ぐように指示された。
イメージで言うとだんだんと坂道を登り始める感覚である。
五分程漕いだ頃だろうか。
急に辛くなって来て、息が苦しい。
看護婦さんへの疲れ確認も「かなりしんどい」の番号で伝える。
(しんどさを出来るだけ明確に伝えるための方法なのだろう。)
と、同じタイミングで先生が心電図を食い入るように見始め、看護婦さんもそれを注視する。
空気が緊張する中、先生が眉根を寄せて
「あぁ、出たね。」と呟いた。
何が出たー?!
そしてやってくる地味な痛み…胸痛だ。
しんどさと不安がない混ぜになり、けど足は止めては行けないと言われていたから…。
と、急に足が軽くなり自転車の負荷が減らされたことに気がついた。
「(胸は)痛いですか?」先生が聞く。
「はい…。」
先生の指示で看護婦さんたちが計器を操作して、ドンドンペダルは軽くなっていった。
最後までしっかり漕ぎ続け、血圧もしっかり測って検査は終了…。
服を着替えてお水を頂き、体を拭いた。
心電図がおかしかったのかもしれない…。
待合で一息ついて暫くしてからまた診察室に呼ばれた。
すぐに結果が出るらしい。
診察室までこいちゃんが来てくれたのが、本当にありがたい…。
「心電図に異常が出ました。もしかしたら血管に瘤が出来ていて血流が滞っている可能性もありますので造影剤を入れて心臓の血管を見たほうが良いでしょう。
紹介状書きますので、そこで検査をしてください。」
先生の話では、ここでは出来ないMRI検査との事だった。
なんだかさらに怖いことになって来た。
現実味がなく、呆然とする私に先生は安心させようとしたのか
「大丈夫ですよ、即日検査してくれるし。まあ、カテーテル手術なんかもかなり楽になってますから。」
イヤァ!まだそんな事まで聞きたくなかった…。
余分な知識に恐怖倍増で帰宅した私に、こいちゃんが優しく慰めの言葉をかけてくれた。
「大丈夫だよ、心配していることの8割は取り越し苦労だよ。」
その割合はなんだろう…。
ぼんやり考えながらひたすらこいちゃんの優しさに甘えつつも体を引きずりながら最低限の家事をこなした。
そうなのだ。
このしんどさから逃れるためには、私はいつまでも逃げているわけにはいかない…!
今度もこいちゃんがついて来てくれると言うので2人で日程を決めて有給を取り病院に行くことにした。
怖い、検査も怖いし、結果も怖い!
けど、行くしかないのだ…。