台風一家

心臓ドキドキなお年頃①

事の起こりは半年以上前のこと。
動悸が治らない事が増え、健康診断で心電図を撮ってもらった。
そう、コレは決してピンク色など程遠いお話なのである。
心電図は梅田にある新しいクリニックでとったのだが、結果は異常なし。
不整脈などもないので、あまりに気になるなら専門の病院に行けとのことだった。
専門の…、なんか敷居高いよねーなんて思いつつ年も越して数ヶ月。
ある日いつもの様に会社のために家を出てバスに乗るところだった。
道の向こうにちょうどバスが停車したので、左右を確認して道路を走って渡った。
ほんの数十歩である。
無事にバスに乗り終えて、安心したのも束の間、襲って来た激しい動機と胸痛に身動きが取れなくなった。
コレはなんだ?
ほんの数步の小走りで、肩で息を繰り返し、しゃがみ込みたい程の胸痛が襲ってくる。
残念ながら空いている席はなく、手摺りにしがみつく様にして平静を装ったが、到着までの長いこと…。
何とか電車に乗り継いで会社に到着したが…。
何だったんだろう?
まあ、いい歳だしな…。

四捨五入すれば50才となる。
色々不調を感じるようになり、スッと立ち上がれなかったり白髪を見つけたり、と諦めを感じる瞬間が増えて来た。
更年期も入るだろうから動悸ぐらいでわぁわぁ言っていたら病院がいくつあっても足りないだろう。
特に今はこんなコロナの時期。
しょうもないことで病院に行くのは憚られる。
面倒くさいのも手伝って理由をつけてはうやむやに過ごすことにしたのだ。

しかし、それから数週間後。
さらに異変が起きる。
日に日に呼吸がしんどくなり、普通に歩くことが辛くなって来た。
胸痛は走らなければ起きないので回避出来ていたが、動悸と息切れ、呼吸のしんどさで通勤が地獄…。
特に肺が小さくなった様な苦しさがツライ。
会社終わりは足を引きずる様にして何とか歩をすすめ、帰宅後玄関に倒れ込む状態。
さくらちゃんの散歩に無理矢理出かけるも、いつも10分で帰宅できるルートに30分かかる始末である。
横になると動悸も治るので、横になったり起きたりしながら何とか家事をこなす。
が、時間がかかりすぎてとうとう生活に支障をきたす様になってきた。

まずいんじゃないか?
ネットで調べると出てくる、胸痛に纏わる病気の数々…。
それらを目にするうちに流石に怖くなってきた。
こうなったら行くしかないのか…。
嫌だけど…。
とうとう心臓を見てくれる病院を探すことにしたのだった。
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