車を整えて、洗顔などをすませて伴侶といっくんに追いついて足湯に入ると、頭がすっきりとするようである。
沢山の観葉植物などと、さほど離れていないワゴンの中には、取れたてのねぎやほうれん草など、産地の野菜がてんこ盛りに盛られて販売されている。
大量の野菜が驚きの安さで売られているのは、やはり朝市ならではの魅力である。
寺の本堂を上から写したそのパンフレットの写真は、何だか不思議な光景であった。
ちょっと宇宙的なデザイン、とても寺とは思えない。
これがお寺??と本当に疑いたくなる近代的でクールなつくりである。
本堂の屋上にあたる部分、つまり入り口部分は、一面が池になっているのだ。
なんとも奇抜な発想ではないか。
階段の一番したまで降りると、本堂の暗く伸びた廊下が見えてくる。
以前、何かのアニメでいっくんと見た宇宙船のデザインに似ていなくもない。
その異様な雰囲気にいっくんは宇宙人がいると真剣に思ったようである。
宇宙人に襲われると思ったいっくんは、「宇宙人が来るから、逃げよう」と、先を争うようにしながら階段を登って行ったのだから、つい笑ってしまった。
ちょっとした冒険が終わってから車を走らせ「フロムナードガーデン」に向かった。
お昼時だったので、館内のレストランに入り、いっくんはかわいらしいキッズランチを注文。
その上には目玉焼き。
量もたっぷりで、お腹いっぱいに。
苦しくなるほど満腹で店を後にし、ひいひい言いながら歩き始めることに。
ちりばめられた目からうろこのデザインの数々にわくわくしっぱなしで歩き回る。
5月11日の間の土日のみの運行で、道のり役1.5キロ。
頂上まで、景色を楽しみながら進み、のんびりと歩いて下ることにした。
どこを見回しても、目の覚めるような色とりどりの花が生き生きと咲いている。
花々に囲まれ、さびれた小屋がぽつんとたっていたりする演出は、その古びの哀愁にうっとりという感じである。
一区画ごとに種類の違う植物が植えられており、色の違うカーペットが敷き詰められているようである。
階段を下りながらその植物の名前を確認して楽しむのも良いが、高い場所から望むのも、また面白い。
こいちゃんも釘付けである。
たっぷり花々に癒されたら、次はすぐお隣に入り口がある、淡路島国営明石海峡公園に向かった。
が、ここには子供たちが喜ぶ大型遊具や、広い芝生がたっぷりで、いっくんは再び大興奮である。
大変な作業である…。
いっくんは足を踏み外し落下…。
末代までたたられるんじゃないかと言う勢いで、いっくんに攻め立てられ、恨めしそうに傷を見せ付けられる羽目になるとは。
くたくたになるまで遊んだ楽しい旅行にも終わりはつきもの。
「まだ帰りたくない~」と号泣するいっくんをなだめつつ車を出発させると、もう夕暮れの日差しが。
私は道の駅の朝市で購入したエアープランツを運転席付近のポケットに差込み、ハンドルを握った。
いっくんが旅行先から「帰りたくない」などと泣いたのは初めてのことである。
恥ずかしい話、いっくんが私たちに気持ちをぶつけて、素直に表現してくれる事は、少ないような気がするのだ。
お姉ちゃんがおらず、ちょっと寂しさもありつつ、やはり一人っ子のように旅をしたのは、かなり心に響いたようである。
こんな風に一人っ子のようにじっくりわがままを聞いてやりながら向き合ってやるのも大切な事なのだろうと思った。
旅に、知ることに、貪欲であってもいいと思うのだ。
また新しいいっくんを見せてもらったような、そんな有意義な旅であった。