こいちゃんがいないPキャンプは初の試みである。
いっくんが嫌がるかと思ったが、予想に反して大変喜び、淡路島に向けて出発することになった。
ちょうど高速道路が土日1000円で乗れるということで、若干道路は混雑気味。
天気は良く、楽しいドライブではあったが、いっくんは車に乗り、改めて隣に喧嘩出来るお姉ちゃんがいないことに寂しさを覚えたのか無口になり、少々不機嫌な様子であった。
が、不機嫌は相変わらずで、写真を撮ろうとすれば逃げて隠れる。
結局、後ろからのショットで…。
風は強いが海は穏やか。
ほんのり春霞である。
いつもなら「いっくんだけ、ずるいー!」と待ったがかかるところである。
SAを出ると、すぐにいっくんが「お腹すいた、インスタントラーメン食べる」と聞かない。
仕方なく、すぐにまたPAに入り、伴侶がお湯を入れてきてくれたポケモンのインスタントラーメンをほおばるいっくん。
「シールがほしいだけよね?」というと「違う!」と言い切るいっくん。
言い切った手前か、すべて平らげ、「もう満腹」という感じである。
色々な遊具で遊び、ついには裸足になり駆け回った。
それでも真っ赤な足で遊具に駆け上る。
楽しくて仕方ない様子である。
落ちないように、濡れないように、大人も子供も真剣そのもの…。
上着も着ないで…見ているこちらが風邪を引きそうである。
自分でロープを引き寄せる姿に、おじいちゃんが海で船を操る様子を重ねて「おじいちゃんみたいに、船ひっぱってるの?」
と聞くと、目をそらして口元をニタニタとゆるめつつ、こくりと頷いた。
ロープで板を操りながら向こう岸に到着である。
ソックスと靴を履かせて上着を着せ、山道を登る。
1キロ歩いた頂上に寺があるということで、山頂を目指した。
いっくんが飽きないように、と先頭を歩かせてそれに従うという風に遊びながら登っていたが、途中の休憩所で水を飲んだとたん「いっくん先頭だから、ついてきてくださーい」と急に下り道を降り始めた。
また100メートルしか進んでいないのに、である。
声をかけても、戻れと言っても聞き入れず、話もせずに降りてしまったことに私はキレた。
何分たっても降りてこない私と伴侶のところに、結局、泣きながらいっくんが上がってきて、最後は話し合いの末、みんなで仲良く下山したが、無鉄砲さにあきれてしまう。
そんな無駄なやりとりのせいで、無駄に2往復もしたいつきはさぞ疲れただろう。
朝から何だか判らない物足りなさに自分でも戸惑っていたのではないだろうか。
電話で、無邪気なこいちゃんの声を聞いたとたん、急に元気と、いつものやんちゃを取り戻したいっくんは先ほどのしおらしさは消し飛び、電話ごしに喧嘩でもしそうな会話を楽しそうに繰り広げた。
ちょっと元気になったいっくんではあったが、心のどこかがとっても軟らかくなってしまっているらしく、何だかナイーブ。
今更「お父さんと温泉は嫌~!けど、お母さんとは(自分が男なので女湯は)入れない~!!」とまたもや号泣。
しばらく受付の前で押し問答。
やれやれである…。
何とか説得して入浴すると、浴場は、大橋を望むすばらしい景色で、大変くつろげるものであった。
出口では抽選をやっていた。
肉がびっくりするくらい柔らかく、絶品であった。
脂の味が、しつこくないすばらしい美味しさ。
香ばしい蛸のから揚げが最高である。
たっぷり食べて、この日は就寝。
いっくんはこいちゃんの夢でも見ていただろうか…。