直径30センチはありそうなばかでかいカボチャは何とゴミから生まれたと言う。
それだけ聞くとかなり嫌な感じだが、正確には野菜くずなどの生ゴミを集めて捨てるコンポストに種が混ざっていて発芽し、畑に生えたと言うわけだ。
田舎はスケールがでかい。
このカボチャ、出所は異様だが、大きい上に味がよい。
煮物はもちろん、マッシュにして甘めに味付けをしパン生地に包んで焼いたところいっくんがむしゃぶり付いて食べた。
気をよくしてかなり楽しませて貰ったが、問題はこの時期の冷蔵庫には厳しいそのサイズであった。
本当に大きくて野菜室の殆どを占領してしまい、長持ちするのは嬉しかったが生協商品の配達がある度に入るかどうかびくびくしたものだ。
そのカボチャがなくなりかけた頃、伴侶の親戚からスイカが届いた。
カボチャの大きさにも驚いたが、このスイカも負けない程大きなモノだった。
しかも、爆弾スイカ「でんすけ」の異名を取り、その名の通り、爆弾のように全面真っ黒。
スイカ独特の緑模様がないのである。
都会の一軒家に、丸ごと一個のスイカはあり得ない!
腰を入れてがに股で持ち上げなければ腰を痛めてしまいそうなサイズである。
もちろん冷蔵庫に入るわけもなく、一晩送られたままの段ボールの中で過ごしていただいた。
しかし、このまま何日も持つはずがない。
おまけにスイカの周りには見事なプチトマトや瓜が「もしかして梱包材代わりか?」と疑ってしまうくらい敷き詰められており、その梱包テクニックには舌を巻いた。
が、感心してばかりもいられない、やはりこのままでは全て腐ってしまう。
やばい、どうしよう。
困ったときの友達頼みである。
翌日我が家はスイカパーティーとなった。
二組の親子を招き、庭にプールを用意し、プチトマトを透明ボウルに洗って入れ、冷蔵庫に入らないスイカを水を張った樽で冷やす。
ロケーションは抜群である。
先にやってきたYU君はやる気満々で水泳パンツを履いて来た。
こいちゃんといっくんと3人でプールに入り、炎天下の中で水と戯れた。
プールの脇に透明ボウルに入れたプチトマトを置くと梢とYU君はスナック菓子でも出されたかのようにパンツ一丁でトマトを食べた。
親たちはそんな子供達を網戸越しに眺めながらコーヒータイムを楽しめるのだから一石二鳥だ。
15分ほどで子供達がプールからあがると、しばらくしてから二組目のNA君親子がやってきた。
遊び友達が増えてこいちゃんといっくんのテンションも上がりまくり。
ベテランママの指示を仰ぎながらいよいよ「でんすけ」解体ショーである。
まずお尻の部分とお臍の部分を切り落とす。
が、皮が固くてこれが意外と力がいる。
思わず親たちが「いっくん!危ないから離れなさい!」と声を荒げるほど力作業であった。
その2カ所を切り落としてから何度も包丁を抜き差ししながら何とか半分に切り分けた。
そのスイカの大きいこと。
真っ黒い外見からは想像出来ないほど赤い中身が現れると、子供達は思わず「おお!」とうなった。
まさに解体ショーである。
「子供達が綺麗に食べるのは無理!」とのアドバイスでビニールの敷物を敷き、その上に子供達を座らせてから網戸を開け、蚊取り線香を焚くと、こいちゃん達は楽しそうに庭に種をはきながら胸をびしゃびしゃに濡らしてスイカを食べた。
こいちゃんは何度も「種、飲んじゃった、大丈夫かなぁ」と私に聞いた。
家中に漂う蚊取り線香の香りの中、パンツ一丁で友達と走り回るこいちゃんといっくん。
そうか、田舎のモノは田舎の風景を作るのか。
何と面白い事だろう。
田舎のモノってすごい!
普段ではあるまじきスローな風景に親たちものんびり過ごした。
結局、昼過ぎにプールに入りたくなったNA君と2度目のプールに入ったこいちゃんといっくんは昼寝のことなどすっかり忘れて遊んだ。
みんなが帰ると、こいちゃんといっくんは夢から覚めたように普段の二人に戻り、急に我慢出来なくなったのかいっくんは6時に寝て、こいちゃんも7時半に寝てしまった。
翌日、生協の配達日がやってきた。
3組の親子が寄ってたかって食べたにも関わらず、まだまだスイカは残っていた。
これ以上どうやって無駄にしないようにするべきか困ったが、結局バス仲間全員に切り分けて配ったところ大層喜ばれた。
なんとか生協の配達に間に合い、商品を冷蔵庫に納めることが出来、めでたしめでたしである。
この夏貰った「ごみカボチャ」と「でんすけ」スイカ、忘れられない名前になってしまった…
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