どうでもいい話だが、その日から私の中では「ちょっとおどけた南国の果物」のイメージだ。
弟のせいで、すっかりおまぬけな果物になってしまったが、味は格別だし「カスタードアップル」と言う別名があるほど、すばらしい味なのだ。
百貨店の地下で意外と安く売られていたものを2個も買って堪能した。
森のアイスクリームと言われるだけあり、果物らしくないカスタードの風味があり、甘さも加糖しているのではないかと疑いたくなるほど甘かった。
2個の「おてもやん」から採れた種は全部で26個。
欲張りな私は卵トレイの中に腐葉土を敷き、全てを植えた。
発芽率は高いようで、半分の種が発芽した。
大きな種からひょろりと出た芽は、中に種の殻をかぶったまま間抜けな姿で伸びている物もあったが、お手伝いのつもりで殻を開けたら葉っぱが全て付いてきてちぎれてしまった。
じれったいようだが、ほおって置いた方が良かったのか。
なんの手伝いもしていなくても、葉っぱ部分の地中に忘れてきた子達も多く茎だけの状態でひょろひょろと天を目指していたが、それでも暫くすると小さな葉を一生懸命出し始めた。
夕方、卵トレイを見ると、また発芽していた。
が、水が足りなかったようで、カラカラの土の中に妙に生き生きとしたもやし様の茎が伸びているのが不思議だった。
「おてもやん」はなかなか頑張りやさんである。
せっせと大きな鉢にそれを植え替えているとゴミでも混ざっていると思ったのか、いっくんが「おてもやん」の茎を持って引き抜こうとする。
「生きてるんだから、大事にしないと」と説明しても、なぜもやしを捨てようとして注意されているのか訳が分からないと言った様子だった。
自称「お手伝いが上手」なこいちゃんが砂をふるい、水やりをしてくれた。
そして、水やり大会へと発展し、こいちゃんといっくんが競って水やりをしてくれた。
植物たちが「もーいらん」と言っているのではないかと思うほど、しつこくしつこく自分たちの気に入った植物に水をやり続けた。
ひいばあちゃんが植え替えてくれた青い鉢を指さし、こいちゃんが「これ、なに?」と聞くので「トロピカルフルーツ(時計草)だよ」と答えると食べられる実がなる、と瞬時に理解したようで、「そうか!」と笑顔を見せると、その後は時計草が溺れそうなほど水をあげていた。
水をためていた桶が空になると、二人は漸く満足し、泥だらけの手や足で部屋に上がり込んだ。
手洗いもそこそこに、何日も飲み食いしていないかのように、こいちゃんはお茶を、いっくんは牛乳をゴブリゴブリと飲んだ。
全身、汗と泥まみれの子供達を風呂に入れ、泡だらけにして頭の先から足の先まで洗った。
仕事の関係から急遽外食出来ることになり、こいちゃんといっくんは大喜びで車に乗り込んだ。
近所のパスタ屋に行き、たらふく食べると帰宅してから気絶したように眠ってしまった。
「おてもやん」といい、子供達といい、小さな体で一生懸命生きるって、なかなかとってもすばらしい。
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