体験的な展示物と、様々なワークショップが開催されている、日本で初めて誕生した、本格的な子供のための博物館である。
子供に大切な「驚きの心」「創造性」などの個性を伸ばす、と言うコンセプト。
昼前に出かけ、電車に乗ること30分。
電車を降りて小腹を満たす為にドトール珈琲に入り、それぞれパンや飲み物を頼んで休憩をすることにした。
こいちゃんが頼んだパンはフランスパン生地にソーセージが入っている長いパン。
食べたい一心であまりの固さに顔をゆがめてパンをちぎる。
野菜サンドは残す。
ハムだけ食べてしまう。
食べ終わりには、きゅうりと食パンだけが皿に取り残され、何とも無残である。
何とか完食してキッズプラザの入り口をくぐってすぐに見えてくるオブジェは、いくつかの玉が、ひっきりなしにレールを走り様々な動きを見せる。
玉はころころ転がり、時にはからすの餌として巣に落ちてからくわえて運ばれ、時には時計の中を通って針を進めるなど仕掛けもたっぷり。
こいちゃんといっくんは、玉を追いかけてうろうろ。
何処から手をつけていいのか迷うほどの沢山の展示物があり、子供達も右往左往。
くるくる回る板の上に輪を転がしてみたりするちょっと単純とも思える展示物も、力の働きを勉強出来る。
いたるところに触って、学べる科学がいっぱいなのだ。
何をするものか判らなければとりあえず触ってみて、とにかく参加する。
そうすると不思議な動きをするそれらの装置に、自然と驚きと喜びを感じて子供達は夢中になって「何故?」を追求し始めるから止まらない。
「スタート」の合図で思いっきり走り、壁にバーン!
これは何の装置???
どうやら速度計測の装置だったらしい。
それぞれの速度と、走っている際の映像がテレビに映し出される。
必死の形相で走る、自分が写ったモニターを見てニタニタ。
一こまづつ、絵を書いて、装置にセットして回転させると絵が動いているように見える仕組みである。
漫画と違い、少しづつ絵に変化を加えていくのがポイントなのだが、こいちゃんは様々な色鉛筆を使い、可愛らしい女の子の絵を書き上げた。
頑張りすぎたこの一こま目のイラストを継続できず3コマ目でリタイヤ…。
こんなスケールのシャボンダマ遊びははじめて。
大きなシャボン玉の中で体をちぢここめる。
さんざん楽しんで喜んでいたのに、しばらくたってこいちゃんがぽつりと文句を言った。
「浮かぶと思っていたのに…」
ごめん、それはありえない…。
ハンドルを譲ってから、すかさずこいちゃんは「お友達になろう!」とニコニコアピール。
お友達も「うん」と快くうなづいて一緒にウロウロ。
何が起こるか見ていると、上部のバケツにたまった水が一気にこぼれて降り注ぐ。
思わず子供達は「きゃぁ~!!」
こいちゃんは、大人が腰を曲げないと入れないような小さ目の入り口をくぐり、長い螺旋階段を上って眺めを確かめる。
何と、伴侶が目を話した隙に樹はいなくなり、30分も行方不明に。
何処に行ったのかと思っていたら、この滑り台をずっと滑っていたというのだ。
滑り降りたあとは、また長い階段を上がっていかなければならないのに、楽しかったらしく50回以上は繰り返し滑っていた。
いつになったら飽きるのか、今度は目を離さないように、と近くに腰掛けて見ていたが私が退屈になるほど長い間滑っていたのだ。
漸く帰ってきて「楽しいけど、階段がつらいんだよね~…」と寝転がった。
髪の毛が張り付くほど、汗だくである。
すでに疲れていた私は「1着だけでいいよね?もういいよね??」
これは何だろう??
顔を入れてスイッチを押してみる。
伴侶が見に来ると、「何か変なの…。見ないで!」とキレた。
他にも色んな楽器があるけど、判らないものだらけ。
だから、とりあえず触って鳴らしてみる。
自分もとりあえず楽器の前に座って参加である。
中々うまいのだが、バックは力がいるから難しいようだ。
自動販売機にチャレンジしたかったようだが、背が低く、結局試すまでもなく、初めから届かない…。
コツが判ったこいちゃんは、もう一回チャレンジしていた。
暑くて服など着ていられないようだ。
紙芝居も見せてくれるし、大きな絵本もある。
子供達は舌鼓。
1000円ぴったりだと、ハンコがもらえるのだが、計算するきなどなく、自分の好きなものを放り込んでいく。
自分で「ピッ」「ピッ」。
真剣な顔で、こちらを振り向きもせず働くいっくんである。
不思議な影を見ながら、思わず叫ぶ子供達。
様々な材料を自分で選んでプレートに貼り付け、ライトを当てるのだ。
いっくんは筆をおいてテープで貼ってみる。
そのうち、立体に興味が湧いたいっくんは、お製作そっちのけでカップにキャップを貼り付けたり、自分の世界に…。
やっぱり最後に…。
様々なブースが建ち並び、子供サイズの町並みが広がるスペースには、ヘアサロン、すし屋など、大人でもわくわくするような世界が広がっている。
見よう見真似でねじを取り付け、気分は職人である。
このスタイルは子供達の一番人気。
制服が中々回ってこないほどの人気殺到振りである。
何度もはがきを貰いに行って、配りつづける。
配達、仕分け、はがき回収、不思議と分担が出来上がっているのである。
物怖じしない子供達同士の世界では、まるで昔からこうやって仕事をしているかのようにスムーズに事が運んでいく。
と、お兄ちゃんにはがきの束を渡され、丁寧にカバンに入れてから郵便局を出る。
気分は郵便屋さんだ。
向かいには警察署がある。
敬礼の仕方もならってみる。
ページをめくって内容を把握し、なにやら書き込む。
対面の郵便局を出た新米郵便局員が何やらいっくんに聞きにきた。
どうやら「マンションはここ?」と警察署のポストにはがきを入れにきたらしい。
ここは警察官、いっくんの出番である。
「マンションは、ここじゃないよ」
と警察署を出たいっくんは私をちらりと見てから、ニタつきたいのを必死にこらえた口元で、すぐに前を向き女の子をマンションの前まで案内して行った。
警察署に帰ってきた樹は初仕事をこなした喜びでデレデレであった。
殆どハンドルを動かさずに画面を見つめるこいちゃん。
やっとキッズプラザを出たのは、なんと入場してから6時間後である。
すでにあたりは真っ暗で、晩御飯の時間であった。
「お腹すいた、おいしい~!」
本当によく勉強し、遊んだ一日であった。
親もくたくたであったが、子供のスタミナにはやはり恐れ入る。
子供と言う生き物は、面白いものを追求する瞬間は疲れを感じないと言うことが改めてよくわかった。
あんなに長い間遊んだのに、それでも全てを回ることは出来なかった。
ぜひまた行きたいものである。