初めて母親と離れる不安から「行きたくない」などとだだをコネ、引きはがされるようにして幼稚園バスの先生に抱かれて連れて行かれる様子を見るのはなかなか切ないものがあった。
…3日ほどは。
初めの数日間は他の生徒さんと同じようにメソメソしていたようである。
が、慣れてくると、先生は若くて可愛いし、園庭に出れば遊具もある。
家にはない新品の絵の具や粘土、ハサミやカスタネットなどを「あなたのものよ」とぽんと渡されて、こいちゃんはまさに驚喜乱舞である。
もちまえの脳天気さで友達もすぐにでき、毎日バスを降りるときには「こいちゃん、ばいばーい!」と可愛い数人のひよこ達が手を振ってくれる。
まさに順風満帆に見えた。
しかし、母は心配だった。
家では家事の手を止めなければ返事も出来ないほどのマシンガントークで一日中しゃべり続け、隣家のおばさんにまで「こいちゃんちゃんはお話が上手ね、お母さんは大変(!!)ね。」と言われるほどおしゃべりが好きなこいちゃん。
数分でも黙っていることが出来ず、よだれを垂らしながらでも話しながら歯磨きをするこいちゃん。
家では「こいちゃんはお話やめたら死んじゃうんだよね~(笑)」などと笑い事ですましていたが、幼稚園は集団生活。
先生だって29人の生徒さん対1でやっているわけで…
果たして幼稚園でおとなしく黙っていられるのか?
そんなある日こいちゃんの持ち帰ったお便り帳を開いたところ、珍しくメモ欄に先生からのコメントが。
「おしゃべりが大好きなこいちゃん。バスの中では約束を守って、静かにしていられるようになりましたね。」と…。
バスに乗ってもしゃべり続け、園についてもしゃべり続け、園庭に出ても…、トイレでも……
私の脳裏にはとにかくしゃべり続けるこいちゃんに、「頼むからバスの中だけでも黙ってね、約束して~」という、先生の必死な姿が浮かぶようだった。
どうかおしゃべりが原因で友達や先生に嫌われませんように…。
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