質問への回答は終えましたが、系図について付け加えたいことがあります。
“イエスキリストの系図 1 “ で書いたように、普通、ユダヤ人の系図は男系図なので、女性が出てくることはありません。 しかし、このイエスキリストの系図には4人の女性が載っています。 それも皆、俗に言う “訳あり“ の女性逹です。
では、この女性逹を一人ずつ、簡単にですが、ご紹介します。
1)タマル(マタイ1:2 )
彼女はユダの長男エルと結婚しました。けれども、エルは罪を犯して神の怒りに触れ、死んでしまいました。
その頃の習慣では、長男が子供を持たずに死んだ場合、その兄弟が長男の嫁との間に子供を作り、長男の跡継ぎにすることになっていました。
ところが、次男のオナンは、タマルに子を与えることを拒んで小細工し、神の怒りに触れて死にました。 タマルの舅のユダは、三男まで死んでしまうのではないかと恐れたので、タマルに三男を与えるのを拒み、タマルに実家に帰って三男が成人するのを待つように言いました。
タマルは、舅が、三男が成人しても、彼女に与える気がないことを知りました。
タマルは、神が舅のユダに与えた祝福を相続する子供をどうしても生みたかったので、舅が旅に出たと聞き、遊女を装います。 その時はすでに妻を亡くしていた舅は、やすやすとタマルの魂胆に引っ掛かり、自分から彼女の客となり、関係を持ったのでした。
タマルは、報酬としての子やぎをもらうまでの保証として、ユダの印章と、ひもと、杖を預かりました。 後にユダが、人に託して報酬の子やぎを送ったのですが、その遊女を見つけることはできませんでした。
それから三ヶ月ほどして、嫁タマルが姦淫して身籠ったという知らせを受けたユダは、「あの女を引き出して焼き殺せ。」と、怒ります。
タマルは、引き出された時に、「私はこれこれの持ち主によって身籠ったのです。 これが誰のものかお調べ下さい。 」と言って、例の印章、ひも、杖を舅ユダに送ったのでした。 ユダは、タマルに子供を持つために三男を与えなかった間違いを認めざるをえなかったのでした。
(創世記38章)
タマルの、“神の祝福を受け継ぐ子孫を残したい。“ という願いは、神のみこころにかなったものでした。しかし、取った手段は、神の目には罪でした。
神様に祈りを通して状況を訴えれば、遊女の真似などして舅を騙さなくても、神様が何らかの解決策を与えて下さったことでしょう。
けれども、神を頼らずに、自分の間違ったやり方で目的を達成しようとしてしまうことは、実際によくあることです。私も、特に、自分の思惑が外れて焦った時、急に思いがけない問題にぶつかった時、そういう失敗をします。
原因は、私が、神様が視野に入らないほど、神様との交わりが希薄になっていたことや、あるいは祈りに対する神の回答を待ちきれない忍耐不足。それに、心の底にこびりついている、自分が正しい、自分のやり方が一番良いと 思う傲慢さではないでしょうか。
いつも謙虚に、慌てずに、信頼して神様の指示を仰げるようになりたいものです。
それはともかく、このユダやタマルのように、こんな罪深い私たち人間側の失敗にもかかわらず、神様は、一方的にその憐れみによって、お約束通り、救い主なるイエス様をこの地上に送って下さったのです。なんと、感謝なことでしょうか。