読書とかいろいろ日記

読書日記を中心に、日々のあれこれを綴ります。

『自由思考』 中村文則

2019年11月08日 | 読書日記

『自由思考』 中村文則
¥1,400+税 河出書房新社 2019/7/30発行
ISBN978-4-309-02814-9

……おもしろかった!!

うわ、びっくりした。中村文則はずっと気になっていた作家なのだけど、純文学系に苦手意識のある私としては手に取るのに勢いが必要というか、手を出しあぐねていたのだよね。本書はエッセイ集ということで、これならば、と読んでみたらこれがまあ、おもしろいったら。

これは、小説も読まねばなるまい。

 

 

> 最近、自分がいつから歪んだのか考えているのだけど、どうやら根は深いようである。今思い出したけど、現在小説家である僕が初めて書いた物語は、多分小学一年生の時の、「浦島次郎」という話だった。浦島次郎は老人にされた兄への復讐で亀を脅し、竜宮城へ乗り込む途中で亀の策略にあい溺死し、老人になってしょんぼりしている兄の元にその遺骨が慣れてくるというシュールな物語である。(24頁)

小学一年でこのストーリーを考えたというのか!
中村すげえ…!

 

ドストエフスキーと太宰治をこよなく愛する中村文則。
太宰は高校の頃にほとんど義務感のように読んで、おもしろいと思いはしたが、引き込まれるとまでは行かなかった私としては、私の感受性というのはしょせんこんなもんだなと思う。熱く語る中村文則は、小説家になるべくしてなった人の文学への愛を感じる。中村の文を読んでるとドストエフスキーおもしろそうかも、読んでみようかなという錯覚を覚える。いや、私が読んでもたぶん中村のようには楽しめないから。残念なことに。

 

> 文学は国や政治や時代を超え、人を救う。(287頁)


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