地方制度調査会の続きです。
大規模な公の施設の設置に係る住民投票制度について、総務省原案が、代表民主制を補完する1つとして特に住民が利用する施設は意思把握のために本制度を活用したい、というものに対し、調査会の意見は、対象のあり方や要件等についてもっと詰めるべき論点があり引き続き検討する、というものでした。
これを書いたところ、『大規模公共施設に限らず、常設型の住民投票への発展的解消という理由から不採用となったのか、それとも後退的なものなのかどうか』という趣旨のご質問をいただきました。
会全体の意見を正確に把握することはできませんが、関係者に聞いたところ、時期尚早であるといったニュアンスだったということです。
そこで、都市の住民投票制度はどのような制定状況なのかちょっと調べてみまたら、ありました。
地方行財政調査会が23年11月11日現在で調査した結果を見つけたんです。
調査対象となった東京特別区、政令市から人口5万人未満の都市まで全国808市区中、回答した728市区の中で、
住民投票を何らかの形で規定しているのは、約15%の111市区。
内訳は、条例制定済は27市3.7%、枠組みだけあるのが84市区11.5%です。
また、15市2.1%が制定に向け検討中で、
残り82.7%にあたる602市区はないということでした。
常設型の内容を比較したところ、投票有資格者は、16歳以上、18歳以上、20歳以上とまちまちですし、外国人を対象にしているところもありました。
住民投票の発議も、「市民」、「市長・議会・市民」、「市長・市民」など。
さらに、条件も1/10以上から1/3まで大きな開きがあります。
また、必要が生じたときに、その都度議決に基づいて条例を制定し実施する「個別設置型」住民投票についても、94%にあたる681市区は制定なし。
制定47市の内容は、ほとんどが市町村合併で住民の意思を問うものだったそうです。
でもなかには、大規模公共施設に関係する住民投票も実施されていました。地域交流センターの建設の賛否、総合文化会館建設の是非、産業廃棄物処分場設置・・・
必要と感じている都市も多いのではないでしょうか。
大規模施設は一度建てたら後年度負担も大規模です。住民が直接的な利害関係者として、議論すべき点は多いですね。
住民投票は、住民自治のきっかけになるとても重要で意義深いテーマです。
確かに調査結果からは、対象のあり方や要件等については統一されていないのがよくわかりますし、不公平感がないようにしたいと思います。
でも、一方では、地域事情に応じて差があってもよいとも思うし。
それらも含めて、もっと詰めるべき論点があるようですね。
貴重なご質問をいただき、本当にありがとうございました。