経営革新で事業計画書を作成していただきます。
事業計画書作成するメリットとしては
・経営者のやりたいことを整理できる
・現状の棚卸しができる
・事業の成功確率が高まる
・従業員に対して明確なメッセージが発信できる
などがありますが、最近多いのが金融機関との交渉に有効だということです。
先日も支援先から、経営革新計画の事業計画書を使って金融機関にプレゼンテーションしたところもの凄い好印象だった、との報告を受けました。
なぜ事業計画書が有効なのか。
診断士であればご存知だと思いますが、金融機関は債務者の信用リスクの程度に応じた格付けを行います。
具体的には、(1)正常先、(2)要注意先、(3)破綻懸念先、(4)実質破綻先、(5)破綻先の5つに区分します。債務者の信用度が低いと金融機関は引当金を積み増さなければなりません。
引当金を積みますということは、金融機関の財務安全性が低下します。ですから債務者がどの区分に該当するのか、金融機関にとっては重要なテーマになります。
そしてこの格付けの参考にしているのが、金融庁の「金融検査マニュアル別冊」です。
「金融検査マニュアル別冊」
http://www.fsa.go.jp/manual/manualj/manual_yokin/bessatu/y1-01.pdf
具体的には上記をご覧になっていただければよろしいのですが、このマニュアルの検証ポイントにはこんなことが書いてあります。
**************************
あらゆる判断材料の把握に努め、それらを総合勘案して債務者区分の判断を行うことが必要である。
(1)企業の技術力、販売力等
(イ)企業や従業員が有する特許権、実用新案権、商標権、著作権等の知的財産権を背景とした新規受注契約の状況や見込み
(ロ)新商品・サービスの開発や販売状況を踏まえた今後の事業計画書等
(ハ)取扱い商品・サービスの業界内での評判等を示すマスコミ記事等
(ニ)取扱い商品・サービスの今後の市場規模や業界内シェアの拡大動向等
(ホ)取扱い商品・サービスの販売先や仕入れ先の状況や評価、同業者との比較に基づく販売条件や仕入条件の優位性
(2)経営者の資質
過去の約定返済履歴等の取引実績、経営者の経営改善に対する取組み姿勢、財務諸表など計算書類の質の向上への取組み状況、ISO等の資格取得状況、人材育成への取組み姿勢、後継者の存在等
以上の企業の技術力、販売力、経営者の資質やこれらを踏まえた成長性を評価するに当たっては、金融機関の企業訪問、経営指導等の実施状況や企業・事業再生実績等を検証し、それらが良好であると認められる場合には、原則として、金融機関が企業訪問や経営指導等を通じて収集した情報に基づく当該金融機関の評価を尊重する。
**************************
この「(ロ)新商品・サービスの開発や販売状況を踏まえた今後の事業計画書等」「(ニ)取扱い商品・サービスの今後の市場規模や業界内シェアの拡大動向等」「(ホ)取扱い商品・サービスの販売先や仕入れ先の状況や評価、同業者との比較に基づく販売条件や仕入条件の優位性」またその後の「経営者の経営改善に対する取組み姿勢」「人材育成への取組み姿勢」などは、すべて経営革新の事業計画書に盛り込まれている項目です。
支援先に対して、金融機関の担当者は「ありがとうございます。いただきたい情報はすべてこの計画書に盛り込まれているので助かります」とおっしゃってくださったようです。
もちろん事業計画書の中身がしっかりしていなければ意味がありませんが、しっかり時間をかけて練り上げた事業計画書であれば金融機関を動かすことも可能です。
コメント一覧
![](https://blogimg.goo.ne.jp/image/upload/f_auto,q_auto,t_profile_square_m/v1/noimage/user_photo/gb25_noimage.png)
kurogenkoku
![](https://blogimg.goo.ne.jp/image/upload/f_auto,q_auto,t_profile_square_m/v1/noimage/user_photo/gb25_noimage.png)
伯爵
最新の画像もっと見る
最近の「中小企業診断士」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2004年
人気記事