恐怖日和 ~ホラー小説書いてます~

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掌中恐怖 第十話『虫愛ずる』

2019-04-04 11:45:57 | 掌中恐怖

虫愛ずる

 わたしは虫を見るのが好き。
 美しく舞う蝶も勇ましく鎌を振る蟷螂も。
 毛虫や芋虫でも見つけると嬉しくなっちゃう。
 で、すぐ捕まえて、蟻の通り道に置くんだ。
 すぐ逃げるから細い棒で押さえつけとくんだけど、すると通りがかった蟻がそれに気づくのね。
 急いで仲間を呼びに巣に戻ってく。途中で会った仲間に何やら伝えながら。
 伝えられた仲間はすぐ動けない虫に向かうんだよ。賢いよね。
 で、最初の蟻が巣穴に戻るとすぐ仲間たちが列をなしてやってくるわけ。
 うじゃうじゃ虫を取り囲んでから、もういいだろうってわたしは棒を離す。
 でも数百匹の蟻ぐらいじゃおとなしくならないのね。
 そりゃそうだよね。自然に弱ってる虫じゃないもん。
 で、それ見てるともう歯がゆくて、早くしないと逃げちゃうじゃんって。
 だから棒で虫を巣穴まで転がして運んでやるわけ。
 すると蟻が穴からぞくぞく溢れてきて、虫は黒い固まりになってだんだん動かなくなるの。けど死んだわけじゃないのよ。まだぴくぴく動いてるから。
 それを蟻はばらばらに解体して巣穴に運び込んでくのね。どんな大きな虫でもぜーんぶ巣穴に入れちゃうの。
 あ、そうそう。甲虫の場合は中身だけきれいに持ってちゃうんだよ。硬い皮を残して全部。
 すごいと思わない?



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