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ヤンキースがついに「ひげ解禁」に踏み切った。かつてジョージ・スタインブレナーが導入した「ひげ禁止」ルールは、長年にわたりチームの象徴的なアイデンティティの一部だった。しかし、21日(日本時間21日深夜)、球団は「ひげに関する方針の変更」と題したリリースを発表。時代の流れに適応する形で、この伝統に終止符を打つことを決定した。
これは単なる外見の問題ではない。ヤンキースといえば、清潔感と規律を重んじる姿勢で知られてきた。髪の長さにも制限があり、「ひげを生やしたいなら他のチームへ行け」とまで言われたものだ。過去にはブライアン・ウィルソン(元ジャイアンツ)やジョニー・デイモン(元レッドソックス)が移籍をためらうほどの影響を与えていたルールだが、それがついに撤廃される。
これにより、ヤンキースの選手たちは心置きなく自由なスタイルを楽しめるようになるが、同時に「ヤンキースらしさ」が損なわれるのではないかという懸念もある。往年のファンからは「チームの伝統が失われる」という声も上がる一方で、「むしろ、これでFA市場での競争力が上がる」と前向きに捉える人もいる。
だが、これは単なる「ひげ問題」ではない。これは「ヤンキースが時代に適応するかどうか」の試金石なのだ。ここ数年、アナリティクスを重視しつつも、どこか「昔ながらの野球」を捨てきれなかったチームが、ついにその殻を破る決断をしたとも言える。次は、ホームラン偏重の打線を見直すのか、それとも守備や走塁の重要性を再評価するのか。もしくは、今さらバント戦術を復活させるのか……。
いずれにせよ、ヤンキースは一歩を踏み出した。そして、もし次のワールドシリーズ制覇の瞬間、ひげもじゃのキャプテンが優勝トロフィーを掲げることになったとしたら――スタインブレナーが天国でなんと言うか、少し気になるところだ。
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