so far, not so bad

"unselfconsciousness"

連休の読書、その1

2019-05-06 21:57:39 | 

連休は本も読んだ(その1)。

 久し振りに興味深い本に出会えた。

『ひらかれる建築』--民主化の作法  松村修一著

もちろん全体的に興味深かったのだが、私の琴線に触れたのはそれとはちょっとずれた所。以下に三つ挙げてみる。

1. コミュニティ

現在の主役は箱ではなくそこに住む人々であるというコミュニティの発想。

既に箱は十分にある、今はその使い方を工夫する時だ、そこでの主役は住む人だ、もうちょっと言うと建物は空間の一部で吟味すべきは「場」で、それは一つの建物に留まらず街に広げて考えている方々が活躍し始めているという事例紹介が幾つか出てくる。 しばらく前に山崎亮さんや梅原真さんの本、ドイツの地方都市やアメリカのポートランド、岩手県の紫波町の街づくり等々の本を読んだが、久しぶりにそれらを思い出してわくわくした。

2. スタンス

時代を追った書き方をしているが、前の世代や次の世代の事を書くと書き手のフィルタがかかる可能性があるという謙虚さを明示した、この本の書き方。

例えば次の世代は新しい価値観を持っているはずで、それを論ずるのは旧世代(あくまでここでは世代の対比の表現として書きます)の自分では無理だ、と。だからその部分は事例紹介という形にする、と。 どっかこっかで自分の都合のいいように解釈したり言い切ったりする人が多い中、そのスタンスはとてもすがすがしい。

また、上記のコミュニティに於いて建築家は「庭師」で、確かな技術を持って主役を支える脇役であるという。これほどの建築家自らに本を介して表明されると、それなりの決意を感じる。

3. ライフシフト

時代に即した働き方にシフトするという宣言。

ちょっと前に売れた本の題名だが、この方も、「箱」が余ってるんだから建築家も変わらなきゃ、と、この本で今までのキャリアをまとめたから次に行きますと(半ば)宣言している。そして既にその活動を始めている。今までの延長線上では無いにせよ、現在のリソースをもって次にシフト出来るのはとてもうらやましい状況だし、今の地位に縛られずに次に向かおうとするその姿勢に惹かれる。

 

一時期、街作りに関わりたいなぁと考えていたことがあったが、そんな気持ちをちょっと思い出した本だった。


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