今年読んだ本のメモ、九つ目。
河野太郎は外務大臣にして他国とバリバリやりあってもらうってのが一番いいような気がするんだけど。
さて。
43. やさしい小さな手 /ローレンス・ブロック(著), 田口俊樹他(訳)
ローレンス・ブロックは大抵田口さんが翻訳されているようだが、この短編小説集ではどのような理由か分からないが幾つかを別の方が訳されている。なんとね。
ちなみに、タイトルと表紙の写真だけで内容を判断してはいけない。いつも通り猟奇的な殺人は行われ、誰かが惨殺される。やさしくもなければ赤ちゃんや子供が出てくる気持ちがホンワカして心洗われるような話は一つも無い。
44. 償いの報酬 /ローレンス・ブロック(著), 田口俊樹(訳)
スカダーが動けなくなってきたのは分かったが、頭脳戦に入るかと思いきや思い出話と来た。なるほど、その手があったか。
今のところこれが最新作。スカダー幾つだっけ?70歳?80歳?
次?うーん…。
45. 石を放つとき /ローレンス・ブロック(著), 田口俊樹(訳)
スカダー・シリーズの好きな所は、潔い所だ。そりゃフィクションだから、何で分かった?何でそんな偶然が起こる?という部分も出てくる。ただ、スカダーに年を取らせると決めた時から、本当に時計を進めている。そういう所が好み。
常に歩き回っていたスカダーも、長時間の歩行に耐えられず膝が痛むようになってきている。ある時痛んだ膝をアイスパックで冷やすのだが、そのアイスパックをエレインと共用にしているので、それぞれで使えるようにそろそろもう一つ買い増した方がいいかな、なんて話が出てくる。
また、あの店はもうない、この店も移転したがそれも韓国人の八百屋になってしまった、というのは度々出てきたが、この度ついにミックの店まで売っ払って引退してしまう。
自分の身体も変わって行く。街も変わって行く。気持ちも変わって行く。
設定が変わらない作品もあり、その良さもあるが、いいと思っていても、自分は変わって行く。変わって行く自分が、好みの物が変わったとしても、何ら不思議は無い。
46. 雨降る森の犬 /馳星周(著)
『少年と犬』より"らしく"ない。
47. 聖女の救済 /東野圭吾(著)
なるほど。このトリック一つでこのストーリーは成り立っている。
48. 日本人のための宗教原論 /小室直樹(著)
そもそも自分の身の回りで語られている宗教チックなものは最初の物から既にずいぶんねじ曲がっているのだろうという前提で見ている。ただ一体何のことを言っているのかくらいは分かりたいと、メジャーな宗教については一度俯瞰したいと思っていた。その一つとして読んでみた。
仏教だと語っているけど仏教では無いよ、キリスト教と仏教の混合なんてあり得ない、などという解説が多々出てくる。それはそれで情報としては把握した。ただまがい物が現れたとしても「こっちの言う事が真理です」なんて言われてしまうとああそうですかとしか言いようが無い。
例えば、キリストの生まれ変わりと言われたら嘘だと判断できる、とある。キリストは最後の審判の時に本人が本人の肉体で登場するらしい。だから誰かその辺の人が「私が生まれ変わり」と言ったらあーこりゃ嘘だなと分かる、と。ただ、一方でこうも言い残したらしい。「最後の審判は私がガリラヤ湖を一回りしてくるぐらいの時間で到来するだろう」。それから約二千年、湖が惑星規模の大きさだったとしても既にご指定の時間は過ぎているはずである。あれ、もう「最後」って来たのだろうか。単純にここだけとっても疑問に思う。そして、前者は真実だけど、後者は解釈の余地がある?むむむ?
ただここに書くまでも無く、今まで色々な人々がこの疑問に対峙したはずだ。根拠があるならそれを、解釈があるならまたそれを提示したはずだ。為政者の立場なら不利な証拠は消し、そうでなくとも時間とともに消え失せ、何がなぜそうなったか、今知ることは限りなく難しいはずだ。さて、では何を正しいとする?詰まるところ、信じる者は救われる(掬われる?)という事か。
ちなみに、著者はとんでもなく高学歴の人のよう。エッセンスのつかみ方をご存じなんでしょうね。
という事で。