テレビでのドキュメンタリー放映と、小説のヒットでにわかに注目されたプロウインドサーファー・飯島夏樹が、肝細胞ガンで天に召された。
彼の所属事務所が設けたブログページには、数知れない哀悼のコメントが寄せられている。
実は彼については書こうかどうしようか迷った。彼はボクの高校時代の同級生で、お互い同じような背丈をしながら、彼はとびきりのスポーツマンであり、ボクは徹底的な文系人間だった。廊下を歩いていてもお互い意識せざるを得ない「デカイ」相手だったのだが、そのせいか逆にあまり言葉を交わした記憶がない。そんな関係の相手を「実は知り合いです」とばかりに取り上げたくはなかったのだ。
そんな彼がガンに侵されていることを知ったのは昨年のこと。それまでに彼について聞き知っていたのは、プロサーファーとしての成功、幸せな結婚、海外での豊かな暮らし、といったものだっただけに、その落差に愕然とした。感情より先に「呆然」が訪れたことを覚えている。
ボクの身近にも、ガンで逝く人は多い。飯島と共に通った高校の教頭もガンに冒され、ホスピスでの末期療養を経て逝った。そして、ボクにとって一番の恩師である中学時代の先生も、ちょうど今のボクらと同じ38歳でガンとの闘いを終えた。
ガンとの闘いとその終わりは、いつも理不尽さを人に突きつける。けれども、誰しもがいつか迎える人生の終わりを、むやみに早いことは別にしてもそれと知って向き合えることは、あるときには人の生き方をこの上なく高めることもある。飯島と彼の家族も、そうした姿をボクたちに見せてくれたのだ。それを少しでも自分の糧にしたいと、今、思う。
どうぞ安らかに。そして、あの世ではもうちょっと話せたらいいな。
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