かつて、日本のオーディオシーンを、平面スピーカーが席巻した時代があった。
スピーカー(の振動板)というと、まず思いうかべるのがお馴染み円錐形のコーンだけれど、このコーンの凹部内の空気が、原音忠実再生の邪魔をするとして悪者扱いされたのだった。
それをゼロにしてしまうための近道として登場したのが平面振動板だ。
とは言え、振動板が昔から(そして今も)円錐形をしているのにはワケがある。
真っ平らなモノを、そのままピストン運動させるのは意外と難しいのだ。
もちろんぶ厚く頑丈にすればそれも可能なんだけど、それじゃ振動板としては困るわけで、軽く薄く、そして頑丈にとなると実はかなりのコストと技術が必要になるのだった。
その一方で、理論ほどには聴感上の効果に乏しいということもあって、このブームはうたかたの夢と消え去ってしまう。
写真は、この秋口の取材先(学校)で見かけた、Lo-D(日立のオーディオブランド)製の平面スピーカー。懐かしさのあまり、思わずケータイでパシャリ。
ちなみにLo-Dの平面スピーカーは、金属製のコーンに発泡樹脂を充填し、その表面を特殊素材で覆ったもので、他社に比べると「お手軽」感の否めない方式だったと記憶している。
しかしまぁ、こういう「重箱の隅」をつつくような世界となると、ニッポンの右に出るものはないなぁとつくづく思う。
と同時に、そんなバカバカしいまでのこだわりが、今この国にはずいぶんと薄れてしまったように思えて悲しい。
ものづくりニッポン、なんて言うけど、それは理屈じゃなくて「好きだから」に由来していたから強かったんじゃないのか。
「モノよりカネ」のメンタリティじゃ、ニッポンの将来は暗い気がする。
カネなんて買いたくなるような魅力あるモノがなかったら意味ないジャン!!
……と世界の隅っこで叫ぶ私は物欲を糧に生きています。(^^;)
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四角くて、、確か「APM」とか呼んでいましたよね。
ひとつのユニットに確か4つも5つもボイスコイルが付いていたような・・・
懐かしいです・・・
そうですね。SONYのそれはAPM─アキュレート・ピストニック・モーションだったかな─と呼ばれていました。
僕の好きな平面スピーカー第2位も、ソニーの「APM-6」です。
ちなみに3位はパナソニックのSB-M1、輝ける第1位は、ヤマハのNS-10000X(未発売)でした。
ヤマハのNS-10000Xは、自慢のベリリウムを平面振動板に使った空前絶後の超弩級スピーカーで、4輪で言うところのヤマハOX-99と同様、バブル景気があと数年続いていたら発売されていただろう幻の製品です。
http://www.ippinkan.com/quad-2805.htm
確かQUADより高いのがあったんだよな。
秋葉原のヤマギワで見た気が。
ハイエンドオーディオでJAZZボーカル聞くとウットリするんだよねえ。
平面もそうですが、リニアフェイズってスピーカーの位置を揃えてた構造のも有って原音忠実再生への拘りだったんでしようね。
自分のスピーカーは中学から未だに家に有ったOTTOです。笑
NRBシステムって書いてます。
昨今のCIに毒されて、思わず「パナソニック」なんて書いちゃいましたが、SB-M1はテクニクスのフラッグシップモニター機でした。
リニアフェイズは階段状の巨大なフロアスピーカーから、ツイーターを凹ませたブックシェルフ型までいろいろありましたね。
OTTOには縁がありませんでしたが、とにかく選択の自由に満ちたいい時代でした……(遠い目)
>犬クラさん
コンデンサー型はマイクでは広まったけど、スピーカーでは結局主流になれませんでしたね。両者は表裏一体の存在なわけですが。
あー長岡先生設計のバックロードホーンでも組みたくなってきた……
特に「ESPRIT」のシリーズが懐かしいです。
物欲を糧に生きています、、、
さすが、買いたいバイクを端から買っている
単二さん(笑)。
小間物で物欲を慰めている私です。
憧れましたよねぇ>ESPRIT
買いたいバイクを端からって…そんなの無理ですよ~(^^;)
無駄遣いが祟って、日常の小間物すら買えなくなる日が近いです…(涙)
昭和の香りがします。
全く詳しくないのですが、確かにオーディオ雑誌で見た気がします。
中学~高校時代だったような・・・
スピーカーの下に重ブロックを敷いたりして、レコードにクリーナーを吹いて丁寧にふき取り、針をゆ~っくり下ろして・・・
懐かしいな~
バイクに乗り始めた頃ともかさなります。
先輩からのお下がり、HONDAのMB50が初めでした。
ヤマハのミニトレなんかも土手で良く乗り回してました。(今だと通報されるでしょうね)
入れ忘れたカズーです、、、。
いえいえ。ちゃんと分かったのでイイんですよ~
ESPRITと言えばカズーさんですから(^^)