iに愛はあるか。（その２）

というわけで、実際「i」に乗ってみた。

試乗車は2WDの最上級グレード「G」。
ちなみに「i」では2WD、4WDを問わずすべてのグレードに最高出力64馬力のターボエンジンが搭載されている。

ミドシップというエンジンレイアウトは、必然的にクルマの重量がかさむと言われているけれど、それをエンジンパワーで補おうという発想なのかもしれない。また、ミッションはこれまた全車4速オートマチックのみとなる。

試乗は僕とカミさん、そしてディーラーの営業マンの3名乗車で行った。このクルマはスマートキーを装備しているので、キーを持った営業マン氏が後席に乗り込むと、あとはステアリングポストのつまみを回すだけでエンジンが始動する。このあたりは以前乗っていたベリーサと同様だ。
車室の最後方から響くエンジン音。頭では分かっていても、新鮮と言おうか違和感と言おうか、やはりちょっとした感慨がある。3気筒ということもあって、アクセルを少しあおったときの音・振動とも特筆すべきものはない。可もなく不可もなし。

早速試乗に出かけよう。4速オートマチックはレバーが短く、手首の動きだけでコクコクと操作できるのが小気味よい。けれども変速ショックは相応にあり、印象はあくまで「フツー」。小排気量車では、トルクの細さもあって、発進加速時や低速走行時の変速ショックが乗員にピックアップされやすいと思う。だから小さなクルマにこそCVT（無段変速機）が欲しいというのが僕の希望なんだけど、「i」でも同じことを感じた。小型車カテゴリーの「コルト」はCVTを積んでるんだから、「i」にも奢って欲しかったと思わずにはいられないところだ。低回転では力を発揮しにくいターボエンジンであることも、普段乗っているR2（CVT搭載車）との比較では不利に働いているように感じられた。

一方、ミドシップ化によって実現した長大なホイールベースは、軽自動車とは思えないフラットな乗り心地によって、その効果がハッキリ判る部分だ。加減速などに伴うピッチングも極小で、これは確かに「i」の新しさだと言えるだろう。エンジンを後方に持っていったことで前輪の切れ角は大きく、最小回転半径もR2の4.7mをしのぐ4.5mを実現している（もっともこれはR2があまりに不甲斐ないんだけど）けれども、これだけホイールベースが長いと、軽では滅多に気にならない「内輪差」なんて言葉が脳裏をよぎるくらいだ（苦笑）。街乗り程度のペースではステアリングの応答性もごく自然だし、揺すられ感もない。「軽」の冠なしに「車」と呼びたい走りになっている。ペースが上がり、もしくは路面が悪くなった場合のことは、まだ推し量れないけどね。

今回は登坂路を走ることができなかったけれども、車速さえ乗ってしまえばターボ搭載だけあって動力性能にはおおむね不満なし。とは言え先にも書いたように、車重やミッション、ターボの特性などと相まって、加減速の多いシーンでは走りにも快適性にも若干のストレスが出そうな予感がある。でも、スーパーチャージャー搭載のわがR2と違って、ターボ付きでもガソリンがレギュラー指定なのはイイなぁ。

というわけで自分の結論としては、見た目通りなかなか面白いじゃん！ってところ。CVTの搭載や各部の煮詰めなどなど、今後に期待したいなと思わせる出来だ。もちろん「三菱品質」が生まれ変わったことの証明も（これはまだまだ時間がかかるだろうけど）必要。今日のところは三菱にエールを贈っておこう。「しっかりやれよ！」

ちなみに前回・今回のトップ写真は来場者プレゼントってことでもらってきた「i」のミニカー。ちゃんとゼンマイも付いてて、後ろへ引くとビュン！と走るのだ。造形もなかなか正確で、きょうびのトミカよりは全然イイ感じ。皆さんもぜひもらいに行きましょ～♪